資料編


平成14年度「エル・ネット高度化推進事業」報告書
平成15年3月

高等教育情報化推進協議
  1.趣  旨
     衛星通信を利用した教育情報通信ネットワークを利用した遠隔大学院及び遠隔大学公開講座(エル・ネット「オープンカレッジ」)は、平成11年度、12年度、13年度の3か年にわたり、延べ100大学以上の公開講座を放送し、送信体制受信体制について調査研究を実施し、所定の成果を得た。
 平成14年度は、遠隔大学公開講座を継続的に実施していくための実践的な調査研究を実施するとともに、衛星通信と地上回線とを複合的に活用した効率的な遠隔教育システムの開発など、エル・ネットの高度化に資する調査研究を実施した。
 
2.委託期間   平成14年5月7日〜平成15年3月31日
  3.事業の内容等
    (1)高等教育情報化推進協議会
      推進協議会を組織し、運営・実施を円滑に行うため、以下の委員会を設置した。
      a)推進委員会
         運営・実施を円滑に行うため、学識経験者、講座提供機関の代表等からなる推進委員会を設置し、実施内容、実施方法、運用体制、今後の推進方策等について協議した。
      b)モデル事業実施委員会
         推進委員会委員・専門委員からなり、各モデル地域の調査研究内容について、企画調整するとともに、モデル事業全体について研究を行った。
      c)モデル事業連絡委員会
         遠隔大学公開講座企画運営に関しての実践的調査研究をすすめるため、モデル地域を指定し、より効果的な講座運営の方途を探る。この事業を推進するため、講座開講機関等の担当者、社会教育施設・団体の講座実務者、事務担当者等からなる委員会を設置し、講座運営方法等について調査研究した。
      d)事務連絡会議
         大学独自収録を実施する大学の講座講師、もしくは大学事務担当者が収録に際して、事前に準備のために協議会担当者と打合せを行った。
    (2)事業の内容等
      講座は3期に分けて放送した。
     
第1期  <平成12・13年度再放送>2チャンネル
  5月7日〜8月3日/13週52講義
火・木・金曜日午前1講義、土曜日午後1講義
第2期  <リクエスト講座>2チャンネル
  8月6日〜9月28日/8週32講義
火・木・金曜日午前1講義、土曜日午後1講義
第3期  <平成14年度新規収録放送>2チャンネル
  10月1日〜3月1日/20週117講義
火・水・木・金曜日午前1講義、土曜日午後2講義

       これまで、放送した公開講座の中から、リクエストの多かったものを放送するなど、受講者のニーズにあった放送を行うとともに、新規収録放送についてはこれまでの90分1コマ1講義の形式から変更して、前半50分とし、10分休憩をはさんで後半50分を1講義として、受講しやすい番組構成にした。
 受講体制については、昨年度まで7モデル地域を指定して、地域における遠隔大学公開講座の有効活用に関する調査研究を実施したが、今年度は10地域を指定し、調査研究を実施した。
 また、受講体制に関する調査研究に加え、大学や視聴覚センター等の社会教育施設とが連携しての地方VSAT局からの発信や、衛星通信による映像と双方向性を確保する地上回線の融合などの実践的な調査研究を実施した。
  4.事業の実施経過
     上記内容について、実施するなかで、新規収録放送においてモデル事業関連を含め、ライブ放送を9講義実施した。複数大学による連携講座や、実習を含む双方向講座など新たな取り組みを行った。また、番組評価委員会を組織し、外部有識者による番組評価を実施した。
一方、衛星通信と地上回線との融合的な活用の視点から、新しい広報活動の一環として、講座番組に連動して、e-learningシステムを使い講座の予告編、課題、チェックシートなどのコンテンツ配信を10講義で展開した。
 さらに、インターネットユーザーへの受講者モニター、エル・ネットコンテンツ配信システム用講座コンテンツとして、本年度放送講座の中から、デジタル化、モジュール化して提供した。
  5.事業の成果と今後の課題
     上記事業を実施した結果、番組評価やモニターなど、これまでとは異なった観点からの提供講座に関する知見を得た。また、e-learning等インターネットによる情報提供により、利用者ニーズに迫ることができた。
 今後の課題として、エル・ネット「オープンカレッジ」のコンソーシアム化をふまえたモデル事業を展開していくことが挙げられる。具体的には、受信体制を確立するための拠点づくり、番組制作についてボランティアやコーディネータの活用とその組織化、利用者ニーズの把握とその組織化である。