第3章 モデル事業

1.モデル事業の目的と実施体制
推進委員会委員
浅井 経子
(1)モデル事業の目的
   モデル事業は、高等教育情報化推進協議会が文部科学省から委託を受けた「教育情報衛星通信ネットワーク高度化推進事業」のうち、教育方法に関する調査研究を行うことを目的としている。今年度は、各種ITやVSAT局の活用、実習の導入等の幅広い教育方法等の開発を行った。
 平成11年度はエル・ネット「オープンカレッジ」の実施可能性を探ったが、利用については全国の受信施設を備えた社会教育施設等への広報を中心に行い、利用方法は施設側に委ねた。そのため、効果的な活用に関する本格的な検討と検証を行うまでには至らなかった。
 平成12年度は利用体制についての実験的研究を行い、「連携型」「メニュー選択型」「新規開発型」の3つのタイプを設定して、エル・ネット「オープンカレッジ」活用の効果的な方法を探った。併せて、双方向性の確保に関するさまざまな実験的研究も行った。
 平成13年度は利用体制、双方性の確保およびVSAT局からの発信等についての実験的研究を行った。特に、VSAT局の活用は地域からの発信を促進するために不可欠で、生涯学習関係部課や社会教育関係センター(モデル事業実施主体)と教育センター(VSAT局)との協力体制をつくる可能性と課題を探る必要があった。
 平成14年度は利用体制、双方向性の確保、VSAT局からの発信のほか、SCSやインターネット等の各種ITを併用した放送・配信、実習の導入、大学の正規授業の公開等についての実験的研究を行った。
     
(2)実施体制
   本モデル事業実施のために、高等教育情報化推進協議会推進委員会のもとにモデル事業実施委員会を設置し、モデル事業実施地区として下記の10地区に調査研究を委嘱した。各モデル事業実施地区はエル・ネット受信施設を中心として、施設関係者及び地域協力者、受講者の代表等からなる協議会を設置し、各地区協議会は事業の企画立案、実施、評価にあたった。
 また、青森県総合社会教育センターには、エル・ネット「オープンカレッジ」を活用した事業の展開と評価についての協力を依頼した。
  <モデル事業実施地区と各地区協議会>
    秋田県:エル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業実施委員会
茨城県:常磐大学エル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業実施委員会
新潟県:「にいがた連携公開講座」実行委員会
石川県:いしかわエル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業実施委員会
静岡県:「しずおか連携講座」実施委員会
愛媛県:愛媛県エル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業実施委員会
徳島県:徳島大学エル・ネットオープンカレッジモデル事業実施委員会
熊本県泗水町:泗水町エル・ネットモデル事業実施委員会
宮崎県:宮崎・島根エル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業実施委員会
沖縄県:沖縄県エル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業実施委員会
   モデル事業実施委員会は、事業のタイプとして「連携型」「メニュー選択型」「新規開発型」の3タイプを設定し、事業を推進してきた。本年度もその3タイプで行うことし、そのうち「連携型」を「施設企画型」「大学企画型」にわけることにした。各地区協議会はそのいずれかで事業を実施した。
 モデル事業実施委員会と各地区協議会は事業実施前に協議を行い、意志の疎通を図った。また、モデル事業の実施にあたっては、モデル事業実施委員会委員は現地視察調査も行った。
 さらに事業終了後には、各地区協議会の報告会を開催し、モデル事業実施委員会と意見交換を行うなどして、研究の推進を図った。