第2章 平成14年度エル・ネット「オープンカレッジ」実施状況

2.大学独自収録・地方VSAT局送信について
  前節で触れたように、平成13年度より大学独自収録方式による番組収録を実施した。
これは、大学が主体となった収録体制と全国の地方VSAT局の活用により、低コストで効果的な講座を提供することをねらいとしたものである。ここでは、独自収録経費を協議会で一部叉は全部を負担した27大学と地方VSAT局の協力を受けた8大学の事例を紹介する。


大学独自収録

1.筑波大学
(1)概要
   平成14年8〜10月に亘り大学独自収録方式の大学独自収録型にて1講座1講義を収録、編集を行い放送した。

(2)事業の成果と今後の課題
   筑波大学生物科学系林純一教授による、平成14年度エル・ネット「オープンカレッジ」講座「遺伝子が作る文明」放送映像(約102分)が筑波大学において制作され、同映像が高等教育情報化推進協議会により予定通り放送された。平成15年度に再放送も予定されている。さらに同映像は、平成14年度NIMEワールド(国際教育チャンネル)で放送された。日本における生涯学習用映像及び日本発信の科学教育用映像として効果を上げた。今後、筑波大学において事業の継続・発展を図ることが課題である。
2.金沢大学
(1)概要
   平成14年8〜10月に亘り講義内容の検討、同年10〜12月にかけ大学独自収録方式の大学独自収録型にて1講座1講義を収録、編集を行い放送した。
(2)事業の成果と今後の課題
   これから剣道を指導する指導者にとっては、十分参考となるビデオテープと考えられるが、いつでも、誰でも、何処でも映像が見られるようにすることが必要であり、課題と考えられる。

3.岐阜大学
(1)概要
   講座の番組制作に関わる企画及び運営体制についての調査研究を行うとともに、大学独自収録方式の大学独自収録型にて1講座1講義の収録、編集を行い放送した。

(2)事業の成果と今後の課題
   岐阜大学における独自収録は、今事業が最初であったため、番組収録についての種々の教訓を得ることができた。例えば、講師と収録スタッフとの間の綿密な打合せ・調整の必要性、番組内提示資料の著作権処理についての留意点、収録番組の編集作業に関わる注意事項などである。今回得られた番組収録のノウハウをもとに、以降の岐阜大学発信講座の拡充に努めるとともに、情報通信ネットワークを活用した生涯学習の可能性を追求したい。

4.静岡大学
(1)概要
   実技・演習を伴った講座を大学独自収録方式の大学独自収録型にて1講座2講義収録し、それを静岡県総合教育センター(静岡VSAT局)から全国に配信した。
(2)事業の成果と今後の課題
   今回は静岡地域においては大学独自収録・発信とも初めての取り組みであったが、いずれも大学と地方VSAT局独自で実施できたことが第一の成果であった。加えてエル・ネットの双方向性を活かした遠隔地にいる講師−受講者間のライブ質疑をも地方VSAT局間で実施でき、その可能性を検証することができたことが第二の成果である。
今後の課題としては、番組収録およびライブ放送の際に直面した困難に対応できる制作スタッフ、サポート組織の育成があげられる。
5.名古屋大学
(1)概要
   無線通信システムに関する講義を大学独自収録方式の大学独自収録型にて1講座3講義収録し、必要なコンピュータ画像との合成、編集作業を行いオープンカレッジ放送用コンテンツを作成した。また、その後そのコンテンツの電子ファイル化等を行った。あわせて、著作権のような知的所有権についても調査を行った。
(2)事業の成果と今後の課題
   エル・ネット「オープンカレッジ」において比較的少ない工学系の内容の放送番組を作成した。また、その放送コンテンツの電子ファイル化についても検討し、放送コンテンツ資源の再利用の方策についても検討できた。番組制作の負担と視聴者数の比を小さくする方策の検討が課題である。
6.兵庫教育大学
(1)概要
  学内の評価(コスト面と映像技術面との兼ね合いで)
・世界の言葉でこんにちは−自動翻訳によるコミュニケーション−
 学生アルバイトにより収録したこと、及び台本を数回改善したため、モニターの意見により再収録したため、収録日数を要した。結果的にはそれにより、映像全般が改善された。しかし、ある受講者から「文字に比べスクリーンの画像が今一つで残念だった」旨の感想があった。
・衛星通信による遠隔日本語教授・学習について
 通常の授業においてITの利用を進める動機が持てるようになったのは、講師として番組制作に関わり、得た成果と考える。技術的なことは、助手の協力を得るなど、大学として出来る限りの最大限の努力を行ったが、整備が現状のまま、また、スタッフが現状のままでは次年度に当たっては、独自収録は無理であると言わざるを得ない。
 
地域連携としての公開講座制作についての評価
 本事業は両講座とも、本学が制作、兵庫県立教育研修所が放送、という連携が行われた。制作における連携ではなかった。本学の学校教育研究センターに隣接する、兵庫県立教育研修所から、番組を配信できることになり地域と関わりが持てた。両機関は以前から協力関係があり連携はスムーズに行われた。
 
施設(施設利用のみ)としてのメリットはあったか
施設活用実績の一つに加えられた。
施設:本学
 ・学校教育研究センター スタジオ
 ・共通講義棟SCS教室
7.神戸大学
(1)概要
   大学公開講座の内1講座3講義を選択し、大学独自収録方式の大学独自収録型で収録、協議会にて編集を行い放送した。

(2)事業の成果と今後の課題
   講師へは多種多様な質問等があり、少なからず興味をそそる講座内容であった。収録等には当初放映の計画がなされていなかったので、不具合を生じたことが多々あった。今後もエル・ネットでの放映を考えており、規格にあった撮影等を行いたい。

8.奈良教育大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自収録型で1講座1講義の収録・編集を行い放送した。

(2)事業の成果と今後の課題
   大学での独自収録により、編集作業の工程が理解できた。今以上に品質を向上させる必要があり、そのためには外部に委託するなど、専門家に協力を依頼する必要がある。

9.岡山大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自業者依頼型で1講座2講義の収録・編集を行い放送した。

(2)事業の成果と今後の課題
   当初、岡山県教育センター(岡山VSAT局)から放送の予定であったが、同施設の利用可能日と放送予定日が合わず、国立科学博物館から放送することとなった。
 地域と連携して地方からエル・ネット「オープンカレッジ」を発信することは大きな意義があり、今後、事業実施のために施設との日程調整を早期に実施するなど、教育情報衛星通信ネットワークの高度化を推進していきたい。
 なお、学内に撮影や編集機材を整備すること、ならびにスタッフの育成が今後の課題である。

10.徳島大学
(1)概要
   eラーニングシステムによる予告編作成・広報、インターネットによるリアルタイム質疑応答システムの開発・運営、事前練習会、放映中のチャットによる質疑応答などを試みた。また移動受信装置の実験利用も行った。収録形態は1講座3講義を大学独自収録方式の大学独自収録型で行った。

(2)事業の成果と今後の課題
   受講者も参加しての大学独自収録とインターネットによるリアルタイム双方向質疑応答システムを組み合わせた本事業では、内容により豊かで満足度の高い学習と受講者との交流ができた。システム利用のための設備的、操作技能的問題に対処が必要であり、受講者の事前学習、継続学習にも影響を及ぼすことから、今後のひとつのスタイルとしてさらなる調査、研究、開発が望まれる。

11.愛媛大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自業者依頼型で1講座3講義の収録・編集を行い、愛媛県教育委員会ならびに愛媛県総合教育センター(愛媛VSAT局)との連携により、同施設から放送した。

(2)事業の成果と今後の課題
   愛媛県教育委員会、愛媛県総合教育センター等と大学が連携し、地方VSAT局を利用して講義を発信したことで、地域社会、特に生涯学習に対する質の高い支援が大学によって提供できることが保証された。その意義は大きい。今後、大学の使命の一つである地域貢献の一方策として、社会教育施設で行われるさまざまな事業に大いに活用されるべきである。
 しかしながら、講義収録と編集作業及び生放送のためのスタッフに関しては、プロのスタッフの技術や設備が不可欠であり、講義内容はもちろんのこと、番組としてのメリットを考えたとき、受講者が興味の持てる内容(見せ方)にするための工夫がより一層重要視される。魅力ある講義にするため、限られた予算と現状のスタッフでどこまで出来るかが今後の課題である。

12.琉球大学
(1)概要
   大学の公開講座を沖縄県教育委員会との連携による離島を含めた県内高等学校との高大連携講義として実施する。県立総合教育センターでの2講座2講義の様子を大学独自収録方式の大学独自収録型(県内社会教育施設の協力)で収録し、それを沖縄県立総合教育センター(沖縄VSAT局)から発信し、サテライト会場と電話による質疑応答を行った。

(2)事業の成果と今後の課題
   エル・ネットの機材設備のある県立総合教育センターの研修室に県立北中城高等学校の生徒を集めて教室形式で講義を進め、その模様を録画した。講義はテレビモニターを使用して、事前に撮影した風景や編集した資料を示しながら進めた。
 収録作業は、琉球大学及び県の職員とも、エル・ネットの機材操作に慣れていないため、(株)沖縄映像センターのスタッフに応援をお願いした。
 放送用ビデオの編集は、パソコン処理によって、講義の模様にテレビモニターで使用した資料映像を取り込む作業を行った。これは、パソコン処理に詳しい琉球大学の教官が大学院生の協力を得て行ったが、初めてのこともあり、かなりの労力と時間を費やすことになった。
 放送当日は、ビデオでの講義に引き続いた質疑応答の部分を生放送したのであるが、講義が高校生を前にしたものであり、講師も通常の講義のように、話しかけながら行っていたので、放送全体をあたかも生で進めているように感じた高校生がいた。
 公開講座の独自収録や特にライブでの電話による質疑応答など、機器操作に専門性が要求されるものであり、琉球大学及び沖縄県とも初めての試みであった上に、職員が機器操作をする頻度が少ないため、民間事業者の協力がなければ実現が難しかった。また、編集作業も専門スタッフではない教官等の個人の力量に依存した形で進めたものであり、今後、収録、編集、放送にかかわる専門スタッフの養成が必要である。

13.八戸大学
(1)概要
   大学公開講座を「あおもり県民カレッジ」の公開講座と連携して実施した。これを大学独自収録方式の大学独自収録型で1講座2講義の収録・編集を行うとともに、青森県総合学校教育センター(青森VSAT局)と連携して同所から発信した。

(2)事業の成果と今後の課題
  事業の成果
・大学独自収録事業であり、昨年の経験から編集に時間がかかるということが予想されたので、収録前に担当者との事前計画を綿密に行った。その結果、発信日の繰り上げによる収録日から発信日までの編集時間の短縮が問題となったが、2講義ということもあり期間内で終えることができた。
・収録講座を学外機関との連携講座(あおもり県民カレッジ「あおもり学講座」)という取り組みとして2年目であるが、昨年にもまして関係機関との連携が深まった。
・今年も八戸市役所をはじめ、市商工会議所などの八戸市紹介に関するテープ作成については協力を得ることができた。
・地域や受講生がエル・ネットに関心を持つようになり、また学内でも受信装置の導入機運が高まり、年度当初予算には計上していなかったが、受信装置を設置した。
・講座企画はもとより、限られた設備、機器を工夫、駆使することによって編集も含め、多様なやり方が可能であるという感触を得た。
・本学のような遠距離にある場合、電子メールでのやり取りによりスムーズに事務連絡処理が行えたことはメリットであった。

  今後の課題
・著作権や独自収録事業に関するフローチャートも含めた説明、理解は十分であったが、発信にあたっての「企画書」の記載事項で、発信局が記載するのか、大学が記載するのか実際面で混乱が生じたので、独自収録用の「マニュアル」の確立が望まれること。
・発信予定日の繰り上げにより、収録公開講座の日程変更、編集日程について、関係機関と連絡調整する時間と収録日から発信日までの編集スケジュールが予想以上にタイトになってしまったこと。

14.常磐大学
(1)概要
   できるだけ受講者や受講グループの意見、要望を取り入れてプログラムを決定するなどの利用者のニーズを反映した事業に努め、大学独自収録方式の大学独自収録型で1講座3講義の収録・編集を行い放送をした。

(2)事業の成果と今後の課題
  事業の成果
大学の独自収録は、低コストで番組を制作できるとともに、大学の特色を生かした講座をつくり上げ、それをエル・ネット「オープンカレッジ」の受講生に提供できる点に特色があると思われる。その点、本学においては、人間科学部やコミュニティ振興学部の授業で使用している機器等が整備されている。それは、収録した映像を編集するパソコンソフトや画面の合成や変形などによって映像を効果的に作成したり、編集するための各種AV機器等である。また、これらの機器等を駆使できるAVエンジニアも在職している。従って、本学において、大学独自の収録を行うにあたっては、特別な準備をする必要もなく、収録・編集の両面で極めて簡便に成果を上げることができた。今回、新たな取り組みとして、エル・ネット「オープンカレッジ」の受信施設として、本学の講座を一般の方も受講できるよう放送時に受信装置設置の教室を開放し、一般の方20名に受講していただいた。エル・ネット「オープンカレッジ」は、全員がはじめての受講であった。この取り組みを実施するにあたり、県内の複数の各社会教育施設等への聞き取りを行った。本県において「オープンカレッジ」をプログラムとして企画しているところは殆んどなく、住民レベルにおいてもエル・ネットの存在そのものを理解しているケースは極めて少ないことがわかった。今回の受講者20名のエル・ネット「オープンカレッジ」への評価は非常に高く、この素晴らしいシステムを、一日も早く利用したい、近隣の公民館等で受講したいとの感想や、また、国や自治体のエル・ネットの推進政策はどうなっているのかなどの質問もあった。今回の取り組みで、エル・ネットを利用することによって、全国の大学のさまざまな講座を受講することができ、「オープンカレッジ」に対する需要が間違いなくあること、今までの限られた環境の中での学習機会が大きく広がり、多様な学習ニーズに応えるためにもエル・ネットのさらなる活用を検討していくことが必要であることを改めて確信した。

  今後の課題
・過年度および本年度実施講座について、点検項目を設けて慎重に点検を行ったうえ、改善すべき点を見直して今後の講座開設にあたる。
・今回の講座は、従来の受講生が受身の形である受講形態を改め、講座展開中に課題を出すなど参加型の内容とした。次年度以降、その発展型として担当講師と受講生の間で質疑応答や別会場の受講生との意見交換など双方向通信が可能となる講座を提供できるよう検討していきたい。
・「オープンカレッジ」をはじめ、エル・ネットの活用が決して十分とはいえない本県において、この素晴らしいシステムをいかに一般の方々や公民館等の社会教育施設、高等学校等に周知していくか、また、既存の施設でのさらなる有効活用への助言、需要の喚起など、エル・ネット全体の推進政策を検討し、本学がそのリーダー的役割を果たしていきたいと考える。

15.聖学院大学
(1)概要
   効果的な教育講座の収録を行うため、教育方法、必要な収録及び編集作業体制、運営体制等についての総合的な調査研究を実施し、大学独自収録方式の大学独自収録型で1講座3講義の収録・編集を行い放送した。

(2)事業の成果と今後の課題
  事業の成果
・遠隔教育のための講義収録の方法への理解が深まったこと
 大学では、これまで遠隔授業のための講義収録の経験がなく、他大学の例などを参考にしながらイメージを抱くのみであった。今回、エル・ネットの大学独自収録事業に参加することは、そのノウハウが得られるものと考え、参加に踏み切った。そこで収録にあたっての諸注意を得られたことは、大きな収穫であった。
・編集加工技術への理解が深まったこと
 収録した映像を、遠隔教育向けのコンテンツへ編集加工することは、遠隔教育の実践の中でも重要な位置を占めると考えられる。見やすく、わかりやすいコンテンツに仕上げることは大事なことだが、その分、手間と時間とコストがかかることになる。実作業のノウハウの蓄積と、そうした流れとそれに伴うコストの把握は、遠隔教育の成否を握っていると考えられる。
・著作権処理への関心が高まったこと
 教員は、通例の授業の中ではあまり「著作権」を意識せずに授業を行うことが多い。今回の収録に当っても、使いたい資料が著作権の問題で使用できないことが、途中で判明した。そのことは当初目論まれていた講義の質からいえば、マイナスなのだが、今後、このような経験から教員の「著作権」への関心が喚起できることは有益であった。また、使える資料を探すなかで授業への工夫も深まると予想される。

  今後の課題
・編集加工技術への対応
 今回、もっとも苦慮したのは編集加工技術の面であった。本学にはこれまで、そうした面を担当していた教職員は居らず、この事業に当っては新たに技術の習得の必要性に迫られた。そのことも踏まえて収録・編集加工に当っては、当初、次のような心積もりを立てた。
 a)今後の展開を意識して、収録は家庭用デジタルビデオカメラ、編集はPCによって行う。
 b)収録は協議会主導で行うこととし、内容などにも配慮する。
 c)編集は、今後、ストリーミングまたはVOD(ビデオオンデマンド)などに進むことを意識して、字幕・テロップ・資料の提示などの工夫を調査する。
 意図としては、「手軽な収録、手軽な編集」ということであったが、収録はほぼその目的は達成できたものの、編集では「手軽」とはいかなかった。
 当初の計画では、PCによるビデオ編集は不要部分のカットなどを行い、その後オーサリングツールなどにより、教材提示やテロップなどを入れて同期をはかり出力する、というものであったが、結局、今回の事業ではオーサリングツールの習熟が制作に間に合わず、十分に活用できなかった。
 また資料作成においても、効果的な見やすい資料の作成を意図して、DTPソフトなども導入したが、これも十分に活用し切れなかった。
 以上のような、それぞれの作業において使用する技能の必要性が認識は出来たが、今回には生かしきれなかったのが問題点といえよう。
 しかし、この問題は、おそらく本学のみの問題ではなく、遠隔教育のためのコンテンツ作成にからんでは、当然おきうる問題だと思われる。 すなわち、講義の収録→編集加工→提供という流れの中で、「手軽な収録、手軽な編集」はコストや人的資源の面からも必要な方向であるのだが、逆に講義を「見やすく、わかりやすく」加工しようとすればするほど「手軽」ではなくなってくる。このふたつのベクトルのバランスをどのようにとってゆくかが事業化への鍵となると思われるからである。

16.創価大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自業者依頼型で1講座3講義の収録・編集を行い放送を行うとともに、通信教育部生、学内関係者の受講による学習効果の調査を行った。

(2)事業の成果と今後の課題
   初めての取り組みであり、相当の準備をして臨んだ。収録に関しては大学内の人員・機材で可能との意見もあったが、学外の専門職の方に応援を依頼した。映像の出来栄えは大変満足するものとなったが、学内だけでは、ここまでのレベルに至るのは困難であったと思われる。今回に限りボランティアで出動してもらったので、テープ等消耗品関係の支出のみで済ませることができた。

17.東京家政学院大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自収録型で1講座2講義の収録・編集を行い放送を行うとともに、これらを使用した教育効果についての研究を行った。

(2)事業の成果と今後の課題
   長時間の講義の編集は大変な作業であったが、初期の目標は達成された。
 ただ、収録プロセスにおいて改善点を多く見つけることができ、今後に活かしたい。

18.法政大学
(1)概要
   昨年度までは文部科学省施設にて収録を行っていたが、新たな取り組みとして大学独自収録方式の大学独自収録型で1講座2講義の収録・編集を行い放送をした。今回は映像を意識し、パワーポイント資料や遺跡の写真を多用した内容とした。

(2)事業の成果と今後の課題
   今年度は大学独自収録として事業を行ったことで、収録スタッフや講師との綿密な打合せなど、講座番組を自分達で作りあげたことでコンテンツ制作ノウハウがある程度蓄積された。今後は受講者にとってより魅力ある内容にするための工夫をしたい。

20.女子美術大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自業者依頼型で1講座3講義の収録・編集を行い放送を行うとともに、教育方法に関する調査研究を行った。

(2)事業の成果と今後の課題
   ビデオ製作にあたっては、作品の制作過程や参考作品、資料などを多く取り入れ、より良く理解してもらえることを念頭に置いて講義を構成した。反面、細切れになった場面の編集にあたっては、時間の制約などもあり、以外に大きな労力を費やす結果となった。また、たくさんの学生を登場させたことにより、承諾書の取得に手間取ったこと、外国美術作家の遺作を引用するための著作権協会や代理人(弁護士)との交渉にも時間がかかり神経も使った。

21.中部大学
(1)概要
  大学独自収録方式の大学独自収録型で1講座2講義の収録・編集を行い、放送するとともに、番組の制作法および講義展開法等に関する研究を行った。

(2)事業の成果と今後の課題
  事業の成果
・放送公開講座2講義のPRポスターを全エル・ネット受信局に送付
・本学にて、放送講義1の受信・公開上映
・本学にて、放送講義1-2の公開セミナー(上映・講演会)
・メディア教育開発センター「NIMEワールド」に講義1-2の応募
・大学独自収録事業推進に関わる貴重な実践的ノウハウを蓄積できた。

  次回は、制作時間等の短縮・効率化を図りたい。

22.佛教大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自収録型で2講座各1講義の収録・編集を行い放送を行うとともに、衛星通信を利用した広域的な大学公開講座を実施するために必要な受信・配信・運営体制等について、また地方VSAT局からの発信を含めた総合的な調査研究を実施した。

(2)事業の成果と今後の課題
  事業の成果
教育番組制作の企画・実施の技術的側面や肖像権等の諸権利に関する処理ノウハウを蓄積することが出来た。また、当該事業の実施を通じて、編集システム改良や教材映像情報のデータベース化事業(年次計画)の指針策定に繋がる成果が得られた。

  今後の課題
 収録(特にカメラワーク)の未熟さ、企画を通じての教育効果を挙げるための技術(米国におけるインストラクショナルデザイナーなど)獲得のための人材育成方法。ノンリニア編集システムの改良すべき課題として、DV-CAM(SP)での収録画像が編集システムでのデジタイズ作業において、クオリティの減衰を生じさせていることや、ディスク容量の不足から、50分×4コマの収録画像が同時並行的に作業を進められない等の描出が行えた。また、当該事業を含む教材映像制作への全学的な支援体制(スタッフの措置と実施協議会の学内的な位置付けなど)の次年度に向けての整備が必要といえる。

23.鳥取環境大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自業者依頼形で1講座3講義の収録・編集を実施、放送を行った。

(2)事業の成果と今後の課題
  ・大学の知的資源を全国に向けて発信する機会として、本事業は有意であった。また、地元VSAT局(鳥取県教育研修センター)からの送信がほとんど行われていなかったので、今回の送信が契機となり、地方から全国に向けた情報発信のツールとしての活用が期待される。
・本協議会の反省点としては、外部の収録専門スタッフにお願いしたにもかかわらず画像が鮮明でなく残念な結果となったことが挙げられる。
・全体的な課題としては、@エル・ネットという公開講座受講ツールを受講者の身近なものとしていくために、仕掛けとコンテンツについて考えていく必要があること、A講座準備、テキスト作成に作業における教員等の負担が大きいので、教員の理解を得て、継続参加するためには、本事業の効果(視聴者数及び視聴者の反響)について、数字等で具体的効果を示す必要があること、B本協議会制作の番組だけなのかもしれないが、受講者の反応が少なく、全国に発信しているにしては、寂しい状況なので、広報活動について、工夫が必要である。

24.岡山商科大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自業者依頼型で1講座2講義の収録・編集を実施、放送を行った。

(2)事業の成果と今後の課題
   岡山県教育センターや岡山県生涯学習センターならびに県の施設や人材等と連携を深められたことは、大学の研究内容を社会に還元させる上でも、意義のある事業であったと考えられる。
 反面、大学には放送用の講座を収録・編集できるスタッフや、そのための機器、設備がないため、大学の人材、設備では独自収録を行える環境ではなかった。今回も、地元民放会社の協力が得られ、無償に近い形で講座の収録・編集ができた。今後、視聴し易い講座を制作しようとするならば、そのためのスタッフの確保や機器、設備の整備を行う必要がある。

25.松山大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自業者依頼型で1講座3講義の収録・編集を実施、放送を行った。

(2)事業の成果と今後の課題
   本学の講座を、全国の社会教育施設、学校などの受信局に配信することで、本講座が遠隔地の視聴者にも受講可能となった。
 今後の課題としては、エル・ネット高度化推進事業の主旨に沿った講座を今後開講すること。また、開講した場合は、出演講師の収録に対する理解と協力を得ることが課題となる。

26.久留米信愛女学院短期大学
(1)概要
   情報化・多様化・広域化が進む学習ニーズに対応すべく、大学独自収録方式の大学独自業者依頼型で1講座1講義の収録・編集を実施、放送を行った。

(2)事業の成果と今後の課題
   本放送日には大学を開放し、一般市民の視聴を可能とした他、後日、ビデオによる上映会も実施し、結果、本大学の講座に関心を持ってもらった。
 オープンカレッジ事業に対する関心も高く、本学にて他講座を受講したいとの希望も寄せられた。このことは、地域の方へ学習機会の提供を行うことができたことであり、大きな成果と考えられる。しかし、周辺の受信施設との連携が不十分であったことは、課題として反省する。

27.南九州短期大学
(1)概要
   大学独自収録方式の大学独自収録型で1講座1講義の収録・編集を実施、放送を行った。

(2)事業の成果と今後の課題
    予定どおり放送が実施され、パソコンの基礎知識についての生涯学習を通して、社会貢献の一端を担った。収録作業の効率化が今後の課題である。

*この他に、新潟大学が県内社会教育施設と連携して独自収録を行っているが、モデル事業として実施している為、この項からは省略し、第2章−3.「双方向質疑等の事例」、第3章−3.「事例」を参照いただきたい。

地方VSAT局送信


 
1.新潟大学
(1)概要
   新潟大学が実施した公開講座をSCS(スペース・コラボレーション・システム:大学間衛星通信ネットワーク)を活用し、新潟大学からアップリンクし、岐阜大学で受信した。その後、岐阜県の情報ネットワーク(地上回線)を使用し、岐阜県総合教育センター(VSAT局)からエル・ネット番組として全国に放送した。また、新潟大学と県内2施設(新潟県立生涯学習センター、岩船広域教育情報センター)とを、テレビ会議システムで接続し、意見発表などを行った。

(2)日 程
 
放送日:
『にいがた連携講座2002−エル・ネット特別講座−』
  10月26日(土)13:00〜14:40
  「日本海がはぐくんだ地域と文化」
   

2.八戸大学
(1)概要
   エル・ネットを利用した遠隔大学講座を、あおもり県民カレッジの公開講座として青森県総合社会教育センターと学外連携し、青森県総合学校教育センター(青森VSAT局)から発信した。

(2)日 程
 
放送日:
『文学と「ことば」の世界』
  10月22日(火)10:00〜11:50
  「サン・テグジュペリと宮沢賢治−『星の王子様』と『銀河鉄道の夜』をめぐって」
  10月29日(火)10:00〜11:50
  「複数表現再考−接尾語『たち』の流行をめぐって−」

3.鳥取環境大学
(1)概要
   鳥取環境大学が実施した公開講座を大学内の設備を活用し大学独自収録で実施した。この番組を鳥取県教育研修センター(鳥取VSAT局)から全国に放送した。

(2)日 程
 
放送日:
『コンピュータと通信』
  12月5日(木)10:00〜11:20 「電子メールはなぜ届く」
  12月12日(木)10:00〜11:25 「携帯電話でなぜ話ができる」
  12月19日(木)10:00〜11:25 「光ファイバの話」
   

4.愛媛大学
(1)概要
   愛媛大学公開講座「街がはぐくむ演劇、演劇がはぐくむ街」(全3回)を大学で独自収録し、愛媛県総合教育センター(愛媛VSAT局)から全国に放送した。県内3施設(新居浜市立別子銅山記念図書館、愛媛県立中央青年の家、内子町内子東自治センター)からFAXによる質問を行い、3回目(最終回)に講師がライブで回答した。

(2)日 程
 
放送日: 『街がはぐくむ演劇、演劇がはぐくむ街』
  12月6日(金)10:00〜11:50
  「レビューが生まれた街-進化する演劇都市宝塚-/
  ブロードウェイ・ミュージカルの世界とニューヨーク」
  12月12日(木)10:00〜11:25
  「町民劇場の保存と地域づくり/
  フランス演劇の舞台をめぐって-パリの演劇とアヴィニョンの演劇祭」
  12月19日(木)10:00〜11:25
  「内子座(愛媛県内子町)とグローブ座(ロンドン)/
  オペラとオペレッタの街、ウィーン」

5.琉球大学
(1)概要
   琉球大学の講座を沖縄県教育委員会との連携により高大連携として実施した。琉球大学が独自収録をしたビデオを沖縄県総合教育センター(沖縄VSAT局)から全国に放送した。また、各講座終了後県内5会場と電話によるライブ質疑応答を行った。

(2)日 程
 
放送日:
『琉球と中国・アジアとの交流史』
  1月7日(火)10:00〜11:50
  「琉球王国と首里城」「琉球とアジアの交流」
  1月14日(木)10:00〜11:50
  「琉球の詩人と中国」「漢詩に詠まれた技術」

6.宮崎大学・島根大学
(1)概要
   宮崎市教育情報研修センター(宮崎市VSAT局)から宮崎大学と島根大学との連携による5回シリーズの公開講座を収録した。1回目から3回目を録画放送、4回目〜5回目はライブ放送で全国に放送した。また、5回目の講座では宮崎会場(宮崎市教育情報研究センター)と島根会場(島根大学)とをテレビ会議システムで結び、全講師によるパネルディスカッションを行った。さらに、宮崎県内3施設(南郷町南郷ハートフルセンター、えびの市えびの市民図書館、日向市日知屋公民館)をテレビ会議システムで接続し、質疑応答を行った。

(2)日 程
 
放送日:
『日本文化の源流を探る―日向と出雲の神話と芸能―』
  1月18日(土)13:00〜14:45 「日向神話にみられる日本文化」
  1月25日(土)13:00〜14:45 「出雲神話にみられる日本文化」
  2月1日(土)13:00〜14:45 「出雲の神楽・芸能にみられる日本文化」
  2月15日(土)13:00〜14:40 「日向の神楽・芸能にみられる日本文化」
  2月15日(土)15:00〜16:40 「日本文化の源流を探る」

7.静岡大学
(1)概要
   静岡大学の講座『やきもの考古学』を大学で独自に収録した。それを静岡県総合教育センター(静岡VSAT局)から全国に放送した。2回目の講座では、他地域のVSAT局(香川県教育センター)と衛星ライブによる質疑応答を実施した。静岡県総合教育センターの講師と香川県教育センターの受講生とでやきもの出土品の復元作業が実習として行われた。

(2)日 程
 
放送日:
『やきもの考古学』
  2月8日(土)15:00〜16:50 「やきもの考古学T」
  2月22日(土)15:00〜16:50 「やきもの考古学U」

8.兵庫教育大学
(1)概要
   兵庫教育大学が独自に講座を収録し、兵庫県立教育研修所(兵庫VSAT局)から全国に放送した。
(2)日 程
放送日:
『衛星通信による遠隔日本語授業・学習について』
  2月21日(金)10:00〜11:50
  「衛星通信による遠隔日本語授業・学習について」
  『世界のことばでこんにちは-自動翻訳によるコミュニケーション-』
  2月27日(木)10:30〜12:20
  「文字表示のしくみと自動翻訳サイトを知ろう!」
  2月28日(木)10:30〜12:20
  「翻訳サーフィンとメールでコミュニケーションをとろう!」