.生涯学習におけるeラーニングの活用事例


実践事例8.富山インターネット市民塾


   インターネット市民塾は、市民が自宅などからネットを通じた講座の開催や、仲間を集めて私塾・サークルを開くことができる仕組みで、時間や場所にとらわれず働き盛りからシニアまで幅広い市民が参加し、新しい生涯学習活動の場として広がっている。富山県では、地域の官民学が協働して「富山インターネット市民塾」を運営し、生涯学習を通じた地域活性化を進めている。市民講師による自主企画講座は、「教えることが最高の学習」となり、これまでみられた受身の学習が一変するとともに、地域の知識財を顕在化させている。平成11年に実験運用を始めて以来、累計で200に上る自主企画講座が開催され、講座に集まる市民とネットを通じて組織や場所にとらわれない「知の森」が生まれ、社会参加や新たな学習活動を触発している。県や大学、民間企業による利用も広がり、地域の教育力を集めることにも寄与している。富山の取り組みが各地へ波及し、地域ごとに「インターネット市民塾」の設立が始まっている。提案するのは生涯学習や情報化を推進する行政各部門のほか、中小企業の経営者によるNPO、地元企業、国立大学などさまざまで、それぞれ地域の特色を生かして自立した運営を進めている。富山での取り組みのノウハウを生かし、また各地の課題解決の事例を共有するため、関係者が集まりインターネット市民塾研究会が設立されている。今後は各地の市民塾に参加する市民講師やサポータの交流、地域ならではの講座・コンテンツによる「知の交流」にも力を入れていきたい。

(富山インターネット市民塾推進協議会事務局長 柵 富雄)