.調査研究にあたって

2.これまでの調査経過
山本 恒夫

 平成14年度は、国内外の各種電子媒体の研究開発状況を調査し、新しい情報機器の活用方策について具体的な実践例を提示した。国内調査では、情報機器の開発動向について、開発企業に実態を聞くとともに、機器活用実践先の訪問、開発企業からの機器貸与による試用実践など、学校教育などにおける情報通信技術を用いた機器の活用方法に関する検討を行い、情報通信技術を用いた各種機器の開発状況や教育における利用の可能性を明らかにした。さらに、情報通信技術を利用した代表的な機器のひとつである携帯情報端末をさまざまな方法で活用するフィンランド、ドイツでの現状を調査した。

 平成15年度は、特に社会教育分野を中心に、国内外の新しい情報機器やシステムの活用方策について調査した。国内の社会教育施設においては、高度な情報通信技術で構成される機器を活用した例を取り上げ、その可能性を調べた。具体的には、地域内だけでなく地域を越えた学習交流、生涯学習グループ間での学習資源の共有などの実践事例を調べ、情報通信技術の社会教育における有効性と可能性について検討した。また、国外調査では、英国の生涯学習分野におけるICTの利用状況、生涯学習におけるシステム開発等について、主要な研究機関を訪問して調査した。

 平成16年度は、特に今後の生涯学習において重要な位置を占めるeラーニングの在り方について調査検討した。調査研究委員会において、いくつかのeラーニングに取り組む実践事例先からヒアリングを行った。なお、ヒアリングについては、企業内社内研修、大学での講義、通信制高校での補習等に、eラーニングシステムを提供する企業の中から事前調査により、一定の成果を上げていると思われるところ、またeラーニングシステムを研修に取りこむ社会教育施設、さらにeラーニングシステムを活用した民間の学習グループを選び、これらの先でeラーニングを担当する方々に、約20分程度のヒアリングを行った。その模様は、HP上(http://www.javea.or.jp/chosa/shigen_h16/)でも公開されている(映像資料の見方は、70頁を参照)。

 それをもとに、これまで積極的に行われている企業内研修など組織的なeラーニングの活用から、社会教育に通じる一般ユーザーの活用の現状を把握し、キャリア開発や資格取得などの場面における、効果的な提供の在り方や今後の発展の方策等に関する検討を行った。また、eラーニングは多様な手法が考えられるため、それぞれの方法における有効な活用場面や具体的活用法、学習相談員の活用など、eラーニングを展開する際に課題となる点の検討を行った。

平成14年度   調査研究委員
主  査 坂元  昂 メディア教育開発センター所長
    佐賀 啓男 メディア教育開発センター教授
    美馬のゆり 公立はこだて未来大学教授
    中山  実 東京工業大学教育工学開発センター助教授
    近藤 智嗣 メディア教育開発センター助教授
    天野 和雄 東京都品川区立上神明小学校長
    伊丹 和哉 新潟県立生涯学習推進センター社会教育主事

平成15年度   調査研究委員
主  査 山本 恒夫 大学評価・学位授与機構教授、筑波大学名誉教授
    浅井 経子 淑徳短期大学教授
    渋谷 英章 東京学芸大学教授
    中山  実 東京工業大学教育工学開発センター助教授
    近藤 智嗣 メディア教育開発センター助教授
    原  義彦 宮崎大学生涯学習教育研究センター助教授
    椎  廣行 国立教育政策研究所社会教育実践研究センター長
    立見 康彦 群馬県生涯学習センター情報教育課長

平成16年度   調査研究委員
主  査 山本 恒夫 八洲学園大学教授、筑波大学名誉教授
    浅井 経子 八洲学園大学教授
    山田 恒夫 独立行政法人メディア教育開発センター教授
    中山  実 東京工業大学教育工学開発センター助教授
    堀池喜一郎 NPO法人シニアSOHO普及サロン・三鷹代表理事

(肩書きは当時)