. 社会教育における情報機器活用調査

2.情報機器活用実践事例(1)
オホーツク・文化交流センター「まなびシティ・オホーツク」(北海道網走市)

 まなびシティ・オホーツクは、網走市民の生涯学習を援助・支援するため、会員の資質向上を図るための研修、地域の生涯学習を進めるための情報交換、市民の学習機会の提供を目的に、生涯学習ボランティア養成講座(平成10年〜12年の3年間開設)を修了した仲間が中心となって、平成11年4月20日に結成された。

 同講座は、当時文部省が認定する社会通信教育『生涯学習ボランティアコース』を受講することと、年3回ほどのスクーリング出席が義務付けられており、スクーリングを通して知り合ったことがきっかけとなっている。

 網走市では受講料を2分の1補助する制度をつくり、市民の受講を奨励してきた。養成講座の修了者は3年間で35名程いたが、諸事情などにより入会されていない方もいるため、現在14名の会員で活動している(表1を参照)。この他にも月に1回の定例会、各種団体主催事業への支援、先進地区に学ぶ視察、あばしりまなび塾(網走市教育委員会社会教育課と、市民運営による生涯学習講座。http://www.city.abashiri.hokkaido.jp/web/)への役員を派遣している。

表1 平成15年度の主な活動内容
学習項目 活動内容
陶芸教室 陶芸の指導(会員でない方も参加できる学習会)
オホーツク数学ワンダーランド事業ボランティア オホーツク数学ワンダーランドの支援
あばしりまなび塾
フェスティバル
エコーセンター2000の開館3周年を記念行事の運営・支援
・なつかしいSPレコード鑑賞会
・数理パズルに挑戦するコーナー
・紙芝居やさん
平成16年成人式 成人式の準備、受付、会場整理等の支援及び成人者との交流
2004映画鑑賞会
(シネマ倶楽部あばしり)
運営、受付、会場整理など
情報紙ロセトの発行 エコーセンター2000で行われる行事や生涯学習に関する情報を毎月発行し、市内に配布している。

(1)情報機器活用の計画と貸出機器
 

平成16年1月12日 成人式のボランティア活動の様子を撮影

1月25日 2004映画鑑賞会運営活動の様子を撮影

1月27日 インターネットテレビ会議システムによる全体会議

2月17日 インターネットテレビ会議システムによる宮崎との交流会

2月27日 インターネットテレビ会議システムによる全体会議

 多機能デジタルカメラ

 インターネットテレビ会議システム

 テレビ電話機能付携帯電話

 
(2)活用内容
 

 多機能デジタルカメラによりボランティア活動の様子を、動画・静止画で撮影した。

 成人式において、会員の受付、会場の整理・誘導、交流会の準備・後片付け、着付け直しなどの活動に続いて、2004映画鑑賞会活動の様子も撮影した。網走市には映画館がないため、市民に映画を見てもらう目的で、まなびシティ・オホーツクの会員が中心となって活動しているシネマ倶楽部あばしりが主催となり、網走市教育委員会との共催事業として行っている。主な活動は、上映作品の選定、チラシ・チケットの作成及び販売、当日の受付・会場整理などである。

 そして、日頃のボランティア活動をふまえインターネットテレビ会議システムで他地域で活動するボランティアグループと交流を行った。

 
(3)機器活用の評価
 

 多機能デジタルカメラ2機種を使って動画、静止画で活動の様子を撮影した(次頁写真1〜3)。2機種とも軽量で持ち運びに最適であり、撮影時において画面のブレがほとんどないため、かなりきれいに撮影ができた。撮影した静止画の一部については、エコーセンター2000のホームページ(http://www.city.abashiri.hokkaido.jp/echo2000)にまなびシティ・オホーツクの項目をつくり掲載した(次頁写真4)。なお、動画については、編集するソフトがなかったため、残念ながらまだ活用に至っていない。

 多地点での会議を行うことのできる、インターネットテレビ会議システムやその機能については、とても素晴らしいと思うが、今回の会議においては、あまり生かされてはいなかった。以下に今回の課題をあげる。

会場内で多人数が会議に参加及び視聴する場合には、画面が小さすぎる。また、画面を大きくした場合は、画像が不鮮明になる。

使用している会場、マイクなどにより、音声が聞き取りにくい。

文書共有機能がほとんど使用できていなかった(Webページなどが機能していなかった)。

文書共有機能使用時で、発言者が画面から隠れてしまうため、誰が発言しているかわからなくなる。

 これらの状態は、使用機器及び通信回線等によるものなのか、原因を追求する必要性がある。

 なお、テレビ電話機能付携帯電話もお借りしたが、それを活用し、交流する機会が持てればよかったが、日程などの関係から活用できなかった。

多機能デジタルカメラで撮影した画像をホームページ上に公開


写真4 ホームページに公開

写真1 成人式受付を手伝う

写真2 成人式で着付け直しを手伝う

写真3 映画会鑑賞会受付をする
 
(4)他の実践先とのコミュニケーションについて
 

 宮崎県の地域活性化塾数グループの塾生とまなびシティ・オホーツクの会員とでインターネットテレビ会議システムで交流会を行った。

 今回、双方の活動内容について報告し、ボランティア活動を通じて良かった事などを話し合った。宮崎県が中心となり、青年が市町村や組織の枠を越え、活力ある地域づくりの推進と有能な人材の育成を図ることを目的に構成される地域活性化塾のような事業に取り組んでいることについては、かなり驚かされた。お互いの課題である会員、塾生の募集や運営・活動資金などについての意見交換を行った。

 
(5)参加者の意識調査等について
 

 生涯学習活動を通してまちづくりをする私たちのグループにとって、これまでは情報機器活用の必然性を感じていなかったが、この事業に参加したことを契機にホームページの作成など自分たちの活動PR、外部からの情報収集のために利用する点に価値があると感じた。

 しかし、中高年齢層や職業を持っている市民の集まりの中では、情報機器活用のためには以下のような課題があげられる。

  資金がない(パソコン、多機能デジタルカメラなどの購入費がかなりかかる)。

  技術的な面を指導してくれる人材がいない。

  専用のスペースが持てない。

 これらのことから今回のインターネットテレビ会議システムについては、個人的なグループが活用していくには技術的に高度であり、また使い易さの面でも、まだ改善の余地があると思われた。

(網走市教育委員会社会教育課 本橋 洋樹)

機器提供:多機能デジタルカメラ
松下電器産業株式会社 
http://panasonic.jp/d-snap/av50/index.html