. 社会教育における情報機器活用調査

1.調査の概要
中山 実
原 義彦

3.実践学習グループについて

 本調査研究では、全国の中から北海道、東京、富山、宮崎の4か所を選び、各地区の社会教育施設等で活動する実践学習グループの実践研究調査を行った。各施設とそれぞれの施設での実践研究調査の概要は次の通りである。

(1)オホーツク・文化交流センター「まなびシティ・オホーツク」(北海道網走市)
   生涯学習ボランティア養成講座修了者でつくるまなびシティ・オホーツクは、市民の生涯学習を支援するため、映画観賞会など市民への学習機会の提供や、成人式など生涯学習に関わる各種の事業やオホーツク・文化交流センター(エコーセンター2000)の情報紙発行等のボランティア活動を行っている。

 本実践研究調査では、まなびシティ・オホーツクの活動内容を他地域へ紹介すると共に、他地域との情報交流を通して今後の活動展開の可能性を探ることをねらいとした。

(2)足立区生涯学習センター「ITサロン」(東京都足立区)
   足立区生涯学習センターと地域学習センターでは、ITに関しての知識や技術の学習機会の提供と、区民のネットワークづくりを目指したITサロンが、各センターを会場として月2〜4回程度、開催されている。ITサロンの運営は、すべてITボランティアによって行われている。ITボランティアは、各会場の準備や運営を行うとともに、ITサロンへの参加者にパソコンの操作法やインターネットの接続方法等のアドバイス、パソコン等に関わる相談や質問への対応等の活動を行っている。

 本実践研究調査のねらいは、ITボランティアが他地域のITボランティアとIT技術を利用して交流することにより、活動の目標を再確認するなど意識の向上を図るとともに、IT活用のノウハウを蓄積して、今後の活動のより一層の充実を図ることである。

(3)富山インターネット市民塾推進協議会「ふるさと塾」(富山県富山市)
   富山インターネット市民塾推進協議会では、インターネットを活用した在宅学習、仲間づくり、ネットコミュニケーションなどをねらいとして講座の企画支援、提供等を行っている。

本実践研究調査では、インターネット市民塾ふるさと塾「石仏とふれ合う里となみ野」の講座を活用し、「野外での学習コンテンツの自由な取得・発信による新しい学習形態の研究」というテーマの研究を計画した。ふるさとの歴史や自然を学ぶ講座において、インターネットを通じた在宅学習に加え、実際に現地で史跡などを前に学習コンテンツを入手することにより、学習の深まりが期待できる。また、その発見や感動をその場から学習コンテンツに反映させることで、本人の事後学習に役立て、他の学習者と成果を共有・発展させることができると考えられる。これらの学習の中で最新の情報機器を実験的に活用し、その効果を検討した。

(4)宮崎大学生涯学習教育研究センター「地域活性化塾」(宮崎県宮崎市)
   宮崎県内には宮崎県教育委員会が推進、育成を図っている青年グループ「地域活性化塾」が16グループある。これらはそれぞれ県内各地域において、ときには県全域に関わって地域活性化に向けた活動を展開している。宮崎大学生涯学習教育研究センターでは、地域活性化塾の運営等について指導、助言を行っている。本実践研究調査では、地域活性化塾の活動の目的、意義、活動などを内容としたデジタルコンテンツの作成およびWeb上での公開を行い、その作成方法および活用の在り方についての事例研究を行った。