2 訪問調査

静岡市視聴覚センター
調査実施日 平成14年10月29日
調査対応者 石田 哲也(静岡市視聴覚センター指導主事)
         青島 秀雄(静岡市視聴覚センター館長)

施設の概要
  施設名 静岡市視聴覚センター   開設 昭和58年10月1日
  設置者 静岡市 
  館 長 青島 秀雄 
  〒422-8074 静岡県静岡市南八幡町3番1号 
  tel:054-288-4051 fax:054-288-4045 
  e-mail:mavic@mavic.shizuoka.shizuoka.jp 
  ホームページ http://www.city.shizuoka.shizuoka.jp/mavic/ 
  交通機関 JR東海道線静岡駅からしずてつバス中田3丁目バス停下車 徒歩5分
         車   東名高速静岡インターから約10分

1.研修の内容・方法に関して(一般的事項)
 静岡市視聴覚センター(以下、センターと略す)では、主として16ミリ映写機操作やビデオ編集、コンピュータ操作に関する研修・技術講習を行っている。講座の受講者は、市民や社会教育の関係者が中心である。その他では一部、幼稚園教諭の受講がある。

2.研修の企画・内容の決定に関して
 研修の企画・内容決定に際して、「標準」は参考にしていない。これは、「標準」に則った研修を行うことによって受講者が限定されてしまい、サービスの低下につながる可能性があると考えているためである。

3.予算措置に関して
 予算確保の状況は非常に厳しく、研修機材の購入など容易ではない。現在、センターで保有している機材は16ミリ映写機のみであり、その他の機材はリースにより貸与を受けている。予算の大部を占めるのは、これら機材のリース料である。そのため、研修の計画もセンター保有の機材やリース機材を活かすことのできる内容という観点から決定せざるを得ない部分がある。

4.研修の開催回数などに関して
 視聴覚教育メディア関連の研修は、市民向けのものを中心として月に8〜10講座程度、年間90余講座(映画会の類や、放送によるものを除く)を実施している。研修内容別の実施割合は、ビデオ編集講習会とコンピュータの操作に関する研修がそれぞれ3〜4割程度、16ミリ映写機操作技術講習会と8ミリフィルムビデオ変換講習会が各1割程度、その他の内容の研修が1割程度である

5.広報・周知の方法に関して
 研修の周知の方法として、Webページ上に月ごとの研修の予定や応募状況を掲載するとともに、定期的にニュースレターを作成しこれを配布している。

6.研修のねらい(目標)に関して
 研修のねらいは、それぞれの研修を担当する講師が決定しており、これを研修の際に配布する手引書やレジュメに記載している。

7.研修の内容に関して
 「標準」で取り上げている内容のうちセンターで実施しているのは、16ミリ映写機やビデオ編集、コンピュータの基本的な操作に関する研修である。
「標準」に記載されていないものを加えている事例として、デジタル・プレゼンテーション講座や、8ミリフィルムからビデオへの変換技術に関する研修などがある。中でも、デジタル・プレゼンテーション研修については、受講者からの要望が強く、応募の状況もよい。

8.設備・機材の確保の状況および利用の形態に関して
 先述のように、16ミリ映写機以外のビデオ編集機、コンピュータなどの研修機材はリースで貸与を受けている。リース機材を用いる研修については、研修時間や使用機材、課題の難易度に応じて数百円から2千円程度の受講料を会費として徴収している。
 研修機材の利用形態は、16ミリ映写機とビデオ編集機が集団での利用、コンピュータは個別の利用である。

9.研修担当者および講師の配置に関して
 16ミリ映写機、ビデオ編集機、コンピュータと研修に使用するメディア別に1人ずつ、研修担当者を配置している。研修の担当はセンターの指導主事が務めている。
 研修の講師は民間企業の専門家に依頼している。依頼先は、主として機器のリース元である地元の企業である。講師は派遣職員としてセンターに常駐している。

10.受講者の内訳と定員確保の状況に関して
 定員確保の状況は、研修内容によって異なる。ビデオ編集、デジタル・プレゼンテーションに関する研修には常時、定員枠を超える応募がある。しかし、16ミリ映写機操作技術講習は定員の確保が難しい状況にある。定員枠は研修機材の状況から決定しており、各講座とも、応募が定員に達した時点で募集を締切っている。
 受講者のグループ分けについて、ビデオ編集とコンピュータ関連の講座は学習者の習熟度によって配置し、それ以外の研修は受講者の希望に応じている。

11.研修の進め方に関して
 ほとんどの講座が市民対象であり、1日で完結する内容としなければならないことや、受講者のニーズから、研修の進め方は技術講習が中心となる。講義と実習との関係については、講座によって多少の差異はあるが、講義1に対して実習5という時間の比率である。

12.研修の評価に関して
 研修の内容や講師についての評価は、基本的には行っていない。評価を含めた研修の内容や方法に関しては講師に任せている。

13.次年度以降の研修計画に関して
 基本的には、従来からの内容・方法を踏襲する予定である。ただし、11月に翌年度から新規にリース契約を結ぶ機材が確定するため、若干の変更があるものと予測される。

14.現在の「カリキュラムの標準」に関して
 「標準」で示されている「知識」・「技術」という科目分類のうち、特に「知識」の部分は、センターで実施している研修内容や受講者のニーズと合致しない。
 現在の、研修内容の大枠のみを示すという科目の紹介の仕方については、受講者の要望や教育メディアの状況に対応する方式として有効性が高いと考える。また、研修機関の状況に合わせてカリキュラムから研修科目を選択する現行の「メニュー方式」も、地域の現状や要望に応える方式として有効であると思われる。

15.新・「カリキュラムの標準」の策定に関して
 「標準」は、ある種の拠り所として必要と考える。現在は「標準」を参考資料として活用していないが、他の機関における研修の事例などが「標準」で紹介されれば、センターの研修計画を決定するにあたっても参考になる。また、センターでは市民や社会教育関係者の受講が多いので、社会教育関係者への研修の在り方が示されるとよい。
 カリキュラムの構成については、必修基礎科目が設定されたとしても、受講者の要望や機材の状況は絶えず変化するため、これに対応するのは困難である。そのため、ある程度、柔軟性のある科目構成が望ましい。研修科目は、メディア別による分類が望ましい。これは、センターで実施している研修内容が保有機材やリース機材の状況に依るためである。
 県で実施している視聴覚教育メディア関連の研修の受講者は学校教育関係者が中心であり、センターで行なっている研修の受講者は市民と社会教育関係者が中心であるため、従来からの国・都道府県・市区町村による3段階研修への対応は難しい。また、静岡市は中核市であるため、県との教職員の研修についての意見交換は年に数回の視聴覚連絡協議会において行うのみであり、協同関係は殆どない。

[吉田 広毅]