2 訪問調査

富山県映像センター
調査実施日  平成14年10月12日
調査対応者  中村 啓志(富山県映像センター課長)

施設の概要
  施設名 富山県映像センター
  開設 平成5年4月1日
  設置者 富山県
  課 長 若林 謙二〒富山県富山市舟橋北町7−1
  tel:076-441-8454 fax:076-441-5334
  email: avcenter@tkc.pref.toyama
  ホームページ http://www1.tkc.pref.toyama.jp/AVC/HITV/EI.HTM
  交通機関 JR 北陸本線富山駅 地鉄路面電車県庁前下車 徒歩約5分

1.研修の内容・方法に関して(一般的事項)
県内の視聴覚関係研修講座を中心となって推進し、「視聴覚教育メディア研修カリキュラムの標準(以下、標準という)」に沿った研修を実施している。
視聴覚教育メディア研修については、「標準」の都道府県レベルで指導者を養成するための「研修カリキュラムII基礎コース」の研修を実施しており、平成14年度においては、7月に5日間の講座(マルチメディアコース・ビデオコースの2コース)を実施している。
また、ノンリニアビデオ編集機器が充実している関係から、ビデオ映像教材を作成する研修講座に力を入れている。
さらに、生涯学習を推進する「富山県民カレッジ」では、県民に対するデジタルビデオ映像作成関係講座やホームページ作成講座、ノンリニア編集講座等を多く実施している。特に、財団法人日本視聴覚教育協会主催の「全国自作視聴覚教材コンクール」において、多数の入選者を輩出するなど、視聴覚教材の製作に対する関心は高く、センターの貢献度は非常に高いと言える。

2.研修の企画・内容の決定に関して
・誰が、どのようにして研修を企画し、内容を決めているか?
担当職員が前年度の研修や県民のニーズを参考として企画している。

・研修の企画・内容決定の際、なにを参考にするか?
受講者の感想等も参考にするが、基本的には、保有施設の関係を優先する。

・「カリキュラムの標準」は研修の企画・内容決定の際の参考資料として有用であるか?
内容的に現状にあっていない。参考資料として、予算獲得時の理由として利用するが、研修内容の決定にはあまり有効ではないと思う。

3.予算措置に関して
・研修に割り当てられている年間予算はどの程度であるか?
内部的なことであり、回答できない。

4.研修の開催回数などに関して
・年間に何回程度、視聴覚メディア研修を行っているか?
年間1回実施している。平成14年度は5日間で実施した。

・地域の必要な場所に出掛けて出前研修などを行っているか?
出前講座等は実施していない。

5.広報・周知の方法に関して
・研修(募集)の周知はどのようにして行っているのか?
学校教育については、各学校等、募集要項を配布し、一般県民に対しては、広報誌やホームページにも掲載して周知を図っている。

6.研修のねらい(目標)に関して
・研修のねらいをどのように決定しているのか?
県としての特別な取り決めはしていないが、センターとしての特徴を勘案して決定している。

・研修のねらいを受講者に明示しているか?
それぞれの研修講座の募集要項等に掲載している。

・受講者は研修のねらいを理解しているか?
理解していると思われる。

7.研修の内容に関して
・「カリキュラムの標準」に示されている内容のうち、実施しているものは?
「研修カリキュラムII(基礎コース)」、映像教材作成関係、教職員によるプレゼンテーション作成関係、16ミリ操作講習会等を実施している。

8.設備・機材の確保の状況および利用の形態に関して
・センター保有の機材について
視聴覚教育に関連する機材はほぼそろっている。特に、デジタルビデオ関係の編集機材は充実している。
インターネットは、1.5M専用線が導入されている。

・研修機材の確保の状況は?
現在の保有機材だけで間に合っている。

・研修機材確保のための方策は?
保有機材の範囲内で研修を実施しているのが現状である。財政難でもあり、新規の機材確保はかなり困難となっている。

・研修機材の利用形態は?
参加研修者の個別利用を基本と考えている。ノンリニア研修等は、その操作技能の取得の難しさ、及び機材が高額であることからグループ利用を基本としている。

9.研修担当者および講師の配置に関して
・講師の配置について
講座内容により特に決めていないが、できるだけその分野で高名な講師を依頼するよう努めている。

・地域から人材(協力)を得るための方策は?
特にノンリニア研修については、地域のグループに協力依頼している。(一般開放しており、愛好グループが存在する)
また、ノンリニア編集リーダーセミナー等により、地域の指導人材の育成に努めている。

・講師などの確保のための組織は?
特に存在しない。

10.受講者の内訳と定員確保の状況に関して
・研修の定員(募集)枠をどのような基準から決めているのか?
施設・機材の状況から決定している。

・定員確保の状況は?
研修講座にもよるが、比較的、確保できている。

・受講者の確保がうまくいっている/うまくいっていない理由は?
講座の内容や実施日程等で決まってくるため、一概に言えない。

・受講者の内訳は?
「研修カリキュラムII(基礎コース)」の他にも、学校教育関係者及び社会教育関係者のための、さまざまな講座を実施しており、一概には説明できない。

11.研修の進め方に関して
・講義と実習との関係について感じていることは?
単なる講義型から実習型への転換が求められている。受講者が実践に生かすという観点からも実習型を中心とした方が都合がよい。

・どのような形態が望ましいか?
本センターで実施している「研修カリキュラムII(基礎コース)」の参加者による感想等において、「5日間であれ、まとまった期間を拘束されるのは大変である」ということがよく言われており、勤務の関係からも必要な研修講座を個別に受講することができる「単位制」にしていけないかと考えている。

12.研修の評価に関して
・研修のねらい(目標)に対応した評価内容・方法であるか?
各研修講座の終了時に感想程度を書かせている。

・受講者の発表内容や学習成果、評価内容などをいかに活用しているか?
次回からの講座に反映するよう努力している。

<具体的な感想等の例>
実習を多くしてほしい/短期集中をやめ、期日を分散してほしい/3回くらいがちょうど良いのではないか/著作権に関する講座がほしい

13.次年度以降の研修計画に関して
・一般的な意見として
基本的には従来の内容・方法を踏襲していく。
施設との関係を重視した研修講座を中心に企画・実施していくようにする。

・受講者ニーズに応える態勢、方策は?
各研修講座終了時の反省記録を活用している。

14.現在の「カリキュラムの標準」に関して
・現在のカリキュラムの有効性、有用性について
「標準」自体は、研修講座のカリキュラムを決定する上で必要である。しかし、現在の「標準」は、実際に即していないため、内容的に陳腐化しており、研修講座運営上での有用性は低いと思われる。特に、予算獲得時の理由づけとしては、必要である。

・現在の国(カリキュラムII・専門)・県(カリキュラムII・基礎)・市町村(カリキュラムI)の役割分担について
全般的にはうまくいっていると思われる。が、しかし、将来的には、現在の役割分担の形にこだわる必要はないのではないだろうか。

15.新・「カリキュラムの標準」の策定に関して
・「カリキュラムの標準」は必要であるか?
予算獲得の拠り所として必要である。

・「研修カリキュラムI」「カリキュラムII」の内容、考え方について
現状に即してないため、内容を革新しなければならない。内容的には、プレゼンテーションの方法や、その作成技術等の研修は必須である。各研修講座後の要望等には、かならずあがってくる項目である。

・カリキュラムの柔軟性について
今後、国と地方との役割分担やメニュー方式、単位性が求められる。
さらに、研修に束縛される日数を軽減する必要がある。

・対象者別の研修の可能性について
内容にもよるが、プレゼンテーションの作成技術や、表現技法等であれば、教職員が多く求めている。しかし、ビデオ編集等については、一般市民の方が多く必要としている。

・各研修の時間配分に関して
当然、基準があった方が良い。が、しかし、どのような形態により獲得できるようにするかが問題だと思う。国の研修(カリキュラムII・専門)が実施されないのではないかという噂がある。近い将来はなくなるだろうという予想があるが、この「標準」については、ないと予算化が難しくなるので、できるだけ残してほしい。

・「標準」についての意見
地方では、文部科学省や大学の教授等による最新の状況に関する話を聞く機会が少ないため、そういった内容を中央で実施し、各技能等にかかわる研修については、地方で実施するなどのそれぞれに対応した役割分担を考えてはどうだろうか。

[中村  司]