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モデル事業


(6)広島県エル・ネット「オープンカレッジ」拠点モデル事業報告
広島県エル・ネット「オープンカレッジ」拠点事業推進協議会
(広島県立生涯学習センター)

1.趣 旨
   エル・ネット「オープンカレッジ」事業において、学習機会の提供と受講の促進を図るため、県内の市町村と連携したライブラリーの整備と貸し出しシステムについての研究を行う。そして、学習の成果として、学習ボランティアがエル・ネット「オープンカレッジ」を活用した講座等を自主的に企画し運営する方策について調査研究を行う。
 
2.3年計画の策定
(1)モデル事業実施計画の策定
   広島県エル・ネット「オープンカレッジ」拠点モデル事業を展開するにあたり、イベント的な事業ではなく息の長い事業展開が可能となるよう、エル・ネットを活用した学習を展開するボランティア・グループの育成を図ることとボランティア・グループの活動の支援を展開することにより、県内に受講のネットワークが広がることを目的として3年計画を策定した。
 各年度の主な事業計画のテーマは次に示すとおりである。
 
年 度 
事  業  計  画  の  テ  ー  マ
平成15年度
受講及びライブラリーのシステムづくりとボランティアの育成
平成16年度
システムの拡大と定着化、ボランティアの活動の支援
平成17年度
ボランティア活動の定着化に向けての支援


 エル・ネット「オープンカレッジ」の学習機会提供の拡大と日常的な受講を推進するためには、受講者が「オープンカレッジ」を活用するという意識を高めることが必要であり、受講者による受講者のための「オープンカレッジ」公開講座の展開が必要であると考え、3年間の事業の計画を行った。次に、3年間の事業推進内容を記述する。
 
年度 事 業 推 進 内 容
平成
15
年度
○広島県エル・ネット「オープンカレッジ」拠点事業推進協議会の設置
○講座受信専用スペースの設置
○放送テープライブラリー化(録画装置の整備、ライブラリーの保管)
○県民への貸し出し
○サテライト会場(東広島市中央図書館)の整備と運用
○学習ボランティアの募集と育成
○県内市町村への広報と連携
○広島市まちづくり市民交流プラザとの協働と協同
平成
16
年度
○学習ボランティアによる、オープンカレッジを活用したイベントの開催
○サテライト会場の増設とネットワーク
○県内市町村への広報と連携
○広島市まちづくり市民交流プラザとの協働と協同
平成
17
年度
○学習ボランティアによる講座受信専用スペースの活用
○学習ボランティア養成と活動支援
○学習ボランティアによるオープンカレッジを活用したイベントの開催
○県内市町村への広報と連携県民への広報活動
○広島市まちづくり市民交流プラザとの協働と協同
   
3.各事業の詳細
   広島県立生涯学習センターは、広島県内の拠点施設として、各市町村との連携、サテライト会場との連携や協働・協同により事業を展開し、広島県民・市民への学習機会の提供と受講の促進を図ってきた。
 次に、各事業の詳細について説明する。
(1)広島県エル・ネット「オープンカレッジ」拠点推進協議会
   広島県エル・ネット「オープンカレッジ」拠点推進協議会を設置し、事務局を広島県立生涯学習センターに置いた。協議会委員は、高等教育機関関係2名、学習NPO(講座講師)1名、広島県教育委員会生涯学習課1名、受信施設関係者6名、合計10名で構成した。
 第1回協議会では、事業の内容や実施方法、広報活動等について共通理解を図った。
 第2回協議会では、事業実施の報告とその成果と課題について検討し、今後のエル・ネ
ット「オープンカレッジ」の方向性等について協議した。
   
(2)受講専用スペースの設置と放送番組のライブラリー化
 
 生涯学習センター2階の一部屋にエル・ネット「オープンカレッジ」受講専用スペースを設置し、受講希望者はいつでも視聴できる体制を整備した。放送時間帯は部屋をオープンにして、モニターに番組を常時放映し、来館者がいつでも受講できるよう整備した。
 また、講座テキストは受講会場に講座毎にファイルして閲覧ができるようにした。
  平成15年10月からの放送分を全てDVDに録画保存し、希望の講義をいつでも視聴できるようライブラリー化を図った。また、家庭での視聴にも対応できるように視聴覚教材としてビデオテープの貸し出しも可能なシステムを構築した。
 

受講者数 142名
DVDライブラリーによる受講 6件
ライブラリー貸出数  8件
   
(3)サテライト会場の整備と運営
 
広島市まちづくり市民交流プラザは、平成15年5月から1階ロビーに受講専用スペースが整備されている。
赤外線レシーバーを設置し、受講者が講義に専念できるよう工夫している。今回のモデル事業実施にあたり、
協働(ボランティアの育成と活動支援)と協同(広報活動とライブラリー整備)することで事業効果をあげることができた。
受講者数 456名
DVDライブラリーによる受講 30件
  東広島市中央公民館は、9月に3階ロビーに受講スペースを確保した。番組を記録したDVDを東広島市
教育委員会へ送り、ライブラリー整備に努めた。
受講者数 11名


   
(4)生涯学習NPO及び広島県高等教育機関協議会との連携
   広島県高等教育機関協議会と連携をとり、9月6日(土)及び13日(土)に広島県内の大学による共同開催講座において、エル・ネット「オープンカレッジ」の広報を行った。9月6日には、講師の生涯学習NPOラーニングネットひろしまの代表に講義の中で、エル・ネット「オープンカレッジ」の紹介をしていただいた。
 さらに、共同開催講座受講者に、エル・ネット「オープンカレッジ」のチラシ等をダイレクトメールで送るなどの広報活動を行った。
 学習ボランティアの育成についても、講座の企画段階から生涯学習NPOと連携をとり、講座の講師についてもNPOに依頼した。
 
(5)学習ボランティアの育成
   ボランティア・スタッフ講座 − The First Stage −
   衛星通信を利用したエル・ネット「オープンカレッジ」を活用した講座運営や録画ライブラリーを活用した講座の企画や広報活動等にボランティア・スタッフとして参画するための基礎的な講座として、ボランティア・スタッフ講座を開催した。


 ○講座開催日時:平成15年12月20日(土) 13:00〜17:00

 ○講座内容

時 間 内 容 ・ 講 師
12:30〜13:00 受付
13:00〜13:10 開講行事
13:10〜14:40 講義「世界が広がる ボランティア活動」
広島大学総合科学部 助教授  日下部 眞一
14:40〜14:50 休憩
14:50〜16:50 演習「企画会議 講座企画と運営」
ラーニングネットひろしま 代表 松井 純子
16:50〜17:00 閉講行事 修了証・認定証交付

 ○講座の成果
  エル・ネット「オープンカレッジ」に対する、受講者のイメージや思いをまとめることができた。

受講者のエル・ネット「オープンカレッジ」に対するイメージや思い
項目 内 容
技術・提案 資料の提示の仕方の工夫
学習者の理解度や反応を集計し講師へ提供
多元中継討論会や双方向を利用した交流
広 報 積極的なPR。放送大学との違いを明確化
需要開拓をする
グループのメンバーに勧誘手紙を郵送
テーマ 受講者が受講したい講座
国宝や工芸品。建築物の解説付き鑑賞
巡回講座
学習相談 新しい学習者の相談相手になる
子育講座を立ち上げて悩み・相談に応じる
まちづくり協議会で疑問点を解決できれば
講 師 講師を広島に招聘する
実践者や一芸に秀でた人を講師として
項目 内 容
利用の仕方 好きな学習項目を自分のペースで選択できる
興味のある講座を選んで学習会を開く
番組記録(DVD・ビデオテープ)を宅配
講座内容についての意見交換
コミュニケーションとして利用する
公民館等の連続講座の1コマとして利用
講師に手紙を出す(講座の意見)
学んだことの実践化
運 営 視聴覚環境をもっと良くして欲しい
会場準備のお手伝いをボランティアがする
資 料 番組タイトルの分類
いつでも取り出せる資料として欲しい
手軽な受講 分かりやすい資料作り
受講会場の増設を気軽な受講
   
   ボランティア・スタッフ講座 − The Second Stage −
   衛星通信を利用したエル・ネット「オープンカレッジ」の講座の分析を行い、その結果に基づいて「オープンカレッジ」の活用について、受講者が企画し実践するための講座を開催した。



 ○講座内容
期 日 テ ー マ・講 師
1月24日 (土) 「オープンカレッジ」を診断する
 ラーニングネットひろしま 共同代表 松井 純子
2月7日 (土) 目標設定と戦略づくり
 ラーニングネットひろしま 共同代表 松井 純子
2月14日 (土) 「オープンカレッジ」活用のための企画づくり
 広島県立生涯学習センター
  生涯学習推進マネージャー     三好久美子
2月28日 (土) 効果的なPR
 ラーニングネットひろしま        平木 久恵
3月6日 (土) 効率的な運営
 ラーニングネットひろしま 共同代表 葛原生子

 ○講座の成果
  今回の講座では、エル・ネット「オープンカレッジ」を事前に受講を課したこともあり、受講者の中には受信施設を 巡回し、受講環境などを確かめて参加した受講者もいた。またさらに、講座外に自主的に広島市まちづくり市民交流プラザでエル・ネット「オープンカレッジ」受講を体験するなど積極的な姿勢が現れた。
  受講者の立場からエル・ネット「オープンカレッジ」を分析することができ、ボランティアが企画した事業展開に向 けての準備ができつつある。

    エル・ネット「オープンカレッジ」のSWOT分析結果(StrengthとWeakness)
   
(6)県民・市民への広報活動
   エル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業展開にあたり、県内の全ての公民館や図書館等に、チラシやポスターを配布し、掲示や配架を依頼した。
 また、広島市まちづくり市民交流プラザでは、市広報誌でのPRや受講会場設置時(5月)に新聞記事に掲載された。東広島市では市広報誌でPRに努めた。
 広島県高等教育機関協議会と連携をとり、協議会主催の講座での広報活動、受講者に対
してのダイレクトメールによる広報活動を行った。
 
4.平成15年度の成果と課題
    今年度事業の成果は、次のとおりである
 
 
○受講システムの構築
 専用スペースの確保と常時受講可能なシステムを構築することができた。また、講座に専念できるよう工夫することができた。
   
    ○ライブラリーの整備と貸出しシステムの構築
 DVDによる録画システムとDVDライブラリーを整備することができ、録画したDVDやビデオテープの貸し出しシステムを構築することができた。
   
    ○ボランティアの育成
 生涯学習NPOとの協力により、エル・ネット「オープンカレッジ」を活用した事業を自らが企画・運営するボランティアの育成を始めることができた。また、講座において、受講者の立場からエル・ネット「オープンカレッジ」を分析することができた。
   
    ○サテライト会場・広島県高等教育機関協議会との連携・協力
 広島市まちづくり市民交流プラザとの協働と協同によって、ボランティアの育成と活動支援及び広報活動とライブラリー整備ができた。そして、東広島市教育委員会(東広島市中央公民館)との連携・協力により、東広島市に受講会場とライブラリーの整備を行うことができた。
 また、広島県高等教育機関協議会との連携により、高等教育に興味関心のある県民・市民に直接広報することができた。
   
     今年度の事業における課題は、次のとおりである。
    ○広報・PRの工夫と拡大
 広報については、チラシやポスター配布、市広報誌や新聞掲載などを行ってきたが、情報が欲しいところへ届いていない状況がある。ボランティアの参画など受講者の立場に立った広報・PR活動を展開する必要がある。
   
    ○受講システムの充実
 今回のモデル事業において、県内3か所で受講施設及びライブラリーの整備を行った。
受講者が講義に集中できる工夫や他の受講施設の拡大を図り、受講者が身近で気軽に受講できるシステムを充実する必要がある。
   
5.平成16年度活動計画
    ○学習ボランティアによる、オープンカレッジを活用したイベントの開催
 今年度の講座に続いて、5月頃に受講者を中心としたボランティア・グループによる事業展開を計画している。そして、7月に広島市まちづくり市民交流プラザで開催される大学フェアー(広島県内大学の公開講座の紹介)に出展し、エル・ネット「オープンカレッジ」を紹介する計画である。学習ボランティアの自立を目標に、活動支援を継続して展開する必要がある。
   
    ○サテライト会場の増設とネットワーク
 県内の受信施設等に、エル・ネット「オープンカレッジ」の受講スペースの確保と受講促進の協力依頼を行い、施設間のネットワーク化を図る。
   
    ○県内市町村への広報と連携
 受講会場の拡大の依頼と同時に市町村広報誌等への広報依頼を行う。また、記録DVDやビデオテープの貸し出しについても広報活動を展開する。
   
    ○広島市まちづくり市民交流プラザとの協働と協同
 エル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業の実施では、広島市まちづくり市民交流プラザと協働及び協同が必要である。今年度以上に連携を密に行い、県民・市民に対する受講機会の拡大や広報活動、ボランティア活動の支援を行っていく。


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