戻る
モデル事業

(5)エル・ネット「オープンカレッジ」事業報告書

大阪市モデル事業実施委員会
(大阪市教育委員会事務局市民学習振興課)

1.事業のねらい
   大阪市では、平成4年度に「生涯学習大阪計画」を策定し、その中で全市レベルに「総合生涯学習センター」、ターミナルに「市民学習センター」、地域レベルに「生涯学習ルーム」を整備するという三層学習圏の生涯学習支援システム構想を打ち出した。そして、平成15年度現在、市内小学校297校のうち295校に「生涯学習ルーム」の開設、ターミナルに4か所の「市民学習センター」を整備し、平成14年11月には、生涯学習推進の中核施設として「総合生涯学習センター」が開設された。総合生涯学習センターでは、生涯学習の場を提供する一つの機能として、シティカレッジに力をいれ、大学連携事業、職業教育入門講座、いちょう大学を実施した。そんな折、「エル・ネット」モデル事業の話があり、エル・ネット事業を、いちょう大学(60歳以上の老人大学で「大阪の文学」、「こころと体の健康コース」他4コース実施)の補完的役割を持たせ、実施することになった。
 平成15年度におけるエル・ネット「オープンカレッジ」の大学公開講座の数は、次のとおりである。
   
 
   5大学    講 座 講 義 受講者数
群馬県立女子大学 萩原朔太郎と「郷愁 3回 29人
仙台大学 スポーツ科学と健康・体力づくり 4回 11人
淑徳短期大学 まちづくりと学び 3回 2人
久留米信愛女学院短期大学 地域で担う子育て 4回 2人
岩手大学 啄木の魅力、賢治の魅力 4回 18人
 

 

 

 この衛星通信放送を利用した「オープンカレッジ」の事業参加者は、いちょう大学の受講生が多く、運営に参加したのは、大阪市視聴覚教育協議会(ボランティア組織)の会員であった。
 大阪市では、誰もが容易に学習機会の拡充や学習者及び学習希望者との人的交流の場を確保できるように、生涯学習関連施設(生涯学習ルーム)や区民センターとの連携を図りつつ、また、大阪市視聴覚教育協議会のホームページを活用し、「オープンカレッジ」の録画番組関係をアップして、より一層市民の学習機会の拡充を図っているが、前述のとおり受講者数は、あまり多くはない。初めての取り組みであり、年度の中途からであったの
で、宣伝不足があったように思われる。
 
2.アンケートの調査結果及びビデオライブラリー自主講座の提供アンケートについて
   アンケート調査の分析から、受講者層の中に、60歳代以上の高齢者が占める割合が目立っているのは、いちょう大学から受講していたからと思われる。実際、受講者については、高齢者の人たちが退職後の人生をどう充実させるかということで、本当に真剣そのものに学習している様子が見られる。番組視聴後でのアンケート調査の中で、「ものたりない」、「あまり、よくなかった」と答えている受講者には、話し合い学習を必ずいれるとか、体
験学習活動を取り入れるなど、いろいろな工夫が必要だと推察される。来年度以降、「エル・ネット」ボランティアリーダーを育成していく必要があると考えている。
 以上の点を考慮し、これからは生涯学習関連施設との連携事業のあり方や実施されている事業について、生涯学習の観点から、相互の連携・交流を促進し、事業の体系化を図る必要があるとも考えられる。もう一方で、「オープンカレッジ」で3〜4回受講した講座を、さらに深めるために、放送大学の番組や地域の学習事業を紹介したり、参考文献を用意することなどが求められている。

 次に、先にも触れたが、生涯学習ルーム(295校)に「オープンカレッジ」のビデオライブラリーを使って、自主講座を開催していただけるか否かの、アンケートを実施した。
  もし、自主講座を実施する希望があれば、アンケートの回答をお願いするというような調査であったために、低調な回答(6校)であった。ほとんどの生涯学習ルームは、「エル・ネットとは何であるのか」をほとんど知らない状況がわかった。また、いちょう大学の受講生も、知らない人がほとんどであった。これは、先にふれたように、年度中途だったために説明が不十分で、みんなによく周知することができなかった為かと思われる。今後、いろいろな機会を通じて、年度当初の説明会にエル・ネットのビデオライブラリーの貸し出しを訴えていく方針である。


3.今後の方向性と課題
   総合生涯学習センターでは、4月から、インターネットで部屋の予約ができる情報提供システムを立ち上げる。あわせて、ホームページを充実させることによって、学習者は居ながらにして、生涯学習情報の提供を受けられるようになる。
 また、総合生涯学習センターでは、シティカレッジ事業を、専門的・系統的学習機会の提供について、「大学の連合体」梅田コンソーシアム(日本で初めての社会人大学の連合体・関西経済連合会が社会人大学を利用して専門的職業人を育成することにより、大阪の活性化を図るもの)と連携して実施をする運びになっている。市民が身近なところで受講 できるためのシステムとして、地域では生涯学習ルームで、エル・ネット「オープンカッレッジ」を活用して大学の講座の提供(ビデオの貸し出し)を図っていきたいと考えている。また、ターミナルにある市民学習センターでは、近隣大学との連携事業を提供する。
 総合生涯学習センターの2つ目の機能としての情報提供システムが、いよいよ本格化することにより、大阪市では、市内の図書館、スポーツ施設、社会教育施設の情報がやっと整備されることになる。
 大阪市は、もともと、視聴覚教育に携わるボランティア組織が存在し、現情勢に見合った会員を募り、なおかつ大阪のケーブルテレビも利用して、総合生涯学習センターから情報発信をして、パソコン、ビデオ等を駆使しての生涯学習の講座を提供できるように、長期的な計画を策定していかなければならないが、当面は、エル・ネットを利用して、シティカレッジの講座を全小学校区の生涯学習ルームで実施できるよう、広報、宣伝を強化し、ビデオライブラリー化した教材を使って、自主的な事業が展開できるように進めていきたいと考えている。

戻る