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モデル事業


(2)「地域に生き、未来を拓く生涯学習」千葉県編の制作及び運営
    〜千葉県独自の受講者参加型講座運営をめざして〜

千葉県エル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業実施委員会
(千葉県教育庁教育振興部生涯学習課)

1.趣 旨
    淑徳短期大学講座「まちづくりと学び」から「地域に生き、未来を拓く生涯学習」を活用した千葉県独自の番組を制作する。また、各受信局における活用の啓発を図るための研修会の開催を試みることにより、受講者参加型の講座運営の有効性を検証する。
 

2.体 制

    県教育庁生涯学習課に事務局を置き、千葉県総合教育センター(VSAT局)、我孫子市教育委員会(受信局)、栄町教育委員会(受信局)の協力を得て、学識経験者(1名)、千葉県総合教育センター職員(2名)、受信施設関係者(2名)、受講者代表(2名)及び学校関係者(4名)からなる「千葉県エル・ネット『オープンカレッジ』モデル事業実施委員会」(以下委員会という)を設置した。
 実施委員会はエル・ネット「オープンカレッジ」の活用に関する研修会及び公開講座の企画・実施・評価を行う。
 
3.事 業

(1)エル・ネット「オープンカレッジ」の活用に関する研修会


 エル・ネットの周知、エル・ネット受信局担当者の意識を高めるため、県内のエル・ネット受信局及び生涯学習・社会教育担当者、生涯学習・社会教育施設利用者を対象にエル・ネットの概要やエル・ネット「オープンカレッジ」の活用事例の紹介、学習体制づくりについての研修会を実施した。

日 時 平成16年1月30日(金) 午後1時30分〜4時
講 師 高等教育情報化推進協議会モデル事業実施委員会委員
淑徳短期大学 教授 浅井 経子 氏
国立教育政策研究所社会教育実践研究センター
社会教育調査官 村田 智己 氏
会 場 千葉県総合教育センター
受講者 48名
 
(2)公開講座

 

 

 VSAT局に講師と司会者を置き、受信局である我孫子市、栄町会場とを結んだ受講者参加型の講座とした。それぞれの会場の運営は、委員会委員が担当し、受講者は、事前に12月6日(土)放送の淑徳短期大学講座を視聴のうえ、疑問点等を各自まとめ講座に参加した。
 双方向通信は、インターネットを組み合わせ、インターネット通信には、試行錯誤の結果、NTT−アイティ社のテレビ会議システム MeetingPlazaを採用した。
 シナリオは、実施委員会で検討し、「オープニング」「振り返り」「質疑応答」「まとめ」の構成とし、メイン会場とサブ会場との会話を中心に進行することにした。また、映像が単調にならないよう多くの映像資料等を用意した。「振り返り」においては12月6日(土)の講座のダイジェスト版を作成し、「質疑応答」は講座のキーワードを基に構成するとともに関連する映像を予め用意し、活用を図った。

日 時 平成16年2月14日(土) 午後1時30分〜2時40分
講座名 「地域に生き、未来を拓く生涯学習」千葉県編
講 師 淑徳短期大学 教授 浅井 経子 氏
会 場 千葉県総合教育センター(メイン会場)    
我孫子市生涯学習センター(サブ会場) 受講者 7名
ふれあいプラザさかえ(サブ会場) 受講者 11名




 
4.事業の経過
   実施委員会は、各会場の様子を共通理解するため、公開講座の前に我孫子市、栄町、千葉県総合教育センターで開催することとした。
本県で初めて実施する事業であり、放送にかかわる技術面での不安があったが、視聴覚機器の操作に堪能な教職員を集め、技術スタッフを構成した。4名という少ない人数であったが、入念な打ち合わせを繰り返し、映像資料の作成や機器の調整等の準備に取り組んだ。
 公開講座の当日は、関係者一同「ライブ」という目に見えない緊張感を持って本番を迎えた。各受講会場の進行を受講者代表の委員が行ったため、当日の午前中の打ち合わせで生じた変更にも円滑に対応することができた。

  9月3日 第1回委員会
(事業実施計画及びスケジュール、公開講座の内容について(栄町))
  10月21日 第2回委員会
(事業実施日時、広報、研修会及び公開講座の内容について(我孫子市))
  1月6日 技術担当者打ち合わせ(役割分担及びスタジオ整備等)
  1月27日 技術担当者打ち合わせ(スタジオ機器調整、双方向通信試験等)
  1月30日 エル・ネット「オープンカレッジ」の活用に関する研修会(総合教育センター)
  2月9日 第3回委員会(試験放送)
  2月14日 千葉県エル・ネット「オープンカレッジ」モデル事業特別講座
  3月1日 第4回委員会(まとめ)
 
(1)エル・ネット「オープンカレッジ」の活用に関する研修会
   参加者の募集は、市町村の生涯学習及び社会教育担当課長に依頼をするとともに受信局のエル・ネット担当者にも依頼した。県内の受信局設置市町村の半数に上る市町村からの参加希望があり、エル・ネットに関する関心の高さがうかがえた。

 
  (研修会の様子) (質疑応答)
   
(2)公開講座
  VSAT局
 我孫子市生涯学習センター・ふれあいプラザさかえとの双方向通信を通して、講師と受講者の対話を中心とする放送を目指した。また、映像が単調にならないよう、資料映像などの準備をした。不測の事態に対応するために代替機を用意する等、人的・物的なバックアップ体制を整えた。ほぼねらい通りの講座配信ができた。

 
  (VSAT局スタジオ) (スタジオ調整室)

 
  受講会場
 受講者の募集は我孫子市、栄町の広報誌への掲載や住民活動を行っている団体等に参加を呼びかけた。また、テレビ会議を行うためにインターネットの回線速度を確保するための工事やテレビ会議システムを動作させるための工事を必要とした。
  講座は、事前学習、試験放送、本番と3日間にわたって実施した。テレビ会議システムに慣れるために、受講者にも試験放送に参加を依頼した。その結果、衛星放送のタイムラグやマイクの音量等の調整など機材・機器の操作や関係者の番組作りへの意欲の向上等効果的であった。

 
  (栄町受講会場) (我孫子市受講会場)
 
5.成果と課題
   本事業のもっとも大きな成果として千葉県独自のスタッフによる番組制作ができたことがあげられる。また、生涯学習課と千葉県総合教育センターとの連携も学社融合としての成果の一つであった。これらは、今後の県の事業に活かせるものと考える。
 ライブ放送による公開講座は、公開講座当日までのシナリオ制作や様々な活動を通して、実施委員会委員だけでなく、公開講座の受講者にも「ともに番組作りができた」という満足感を抱かせることとなった。
双方向通信とライブ放送の組み合わせは、受講者、講師が互いに身近に感じられるとともに学習への意欲が高まることも受講者の感想から確認することができた。
 今回は、モデル事業としての番組制作であったが、学習の継続性を考えると市町村単独での双方向通信を取り入れた講座への参加やVSAT局同士の講座運営など新たな「オープンカレッジ」の企画が期待される。
 受信局担当者等を対象として実施した研修会は、エル・ネット「オープンカレッジ」の活用事例、学習体制づくりについて実例を交えた具体的な内容であったため、受講生からは「今後の活用を考えていきたい」という感想が多かった。また、「講座内容を早く知りたい」「エル・ネットのメリット、利用の仕方等のPRに力を入れてほしい」という意見も見受けられた。
 
     
(1)施設として  
  VSAT局  
 
千葉県では初めての講座配信であった。番組制作ができたことが一番の成果である。
千葉県総合教育センターが持つスタジオ設備に、テレビ会議用パソコンやビデオサーバー用コンピュータ等を組み込んでの番組制作となった。民生機と業務機を混在させるための様々な工夫が必要だった。
ノンリニアビデオ編集システムをビデオサーバーとして利用することにより、手際よく資料映像を配信することができた。
テレビ会議システムMeetingPlazaは予想以上の画質と音質を提供してくれることがわかった。ただ、リハーサル時と本放送時を比較すると、リハーサル時の方がはるかに高画質・高音質であった。インターネットの場合、様々な要因で回線速度の変化等が起こる。利用する際は十分注意を払う必要がある。
今回のように既存のシステムに新たな機器を組み込む場合、様々な予期せぬトラブルが起こる。テストを繰り返すことと、バックアップ用機材を用意することで対応できた。実際、本放送ではビデオサーバーのバックアップが役立った。
視聴者側に立ち、よりよい番組制作を目指すためには、それなりの設備、人材、担当者間の打合せ等が必要である。それらを確保しておくことが大切である。

受講会場
テレビ会議システムにより講師と質疑応答することで対面講座に近い形で講座を受講することができた。受講者からも「直接話ができて良かった」「次の機会も参加したい」などの感想があった。双方向とライブ放送の組み合わせは、受講者にとって高い満足感が得られることが確認できた。
事前のPR等不十分なところもあって、エル・ネットが何か、オープンカレッジで何をやっているのかあまり知られていないのが現状である。
エル・ネットをいつでも視聴できる部屋が無いため、いつでも、だれでも、番組を視聴できるような環境の整備が課題である。
双方向通信を取り入れた講座の開催が可能なことが確認できた。しかし、今回は「モデル事業」ということで実施できたが、今後、このような事業を実施するにはシステムの整備をはじめ、スタッフの配置や事前の入念な準備が必要である。
今回のように既存のシステムに新たな機器を組み込む場合、様々な予期せぬトラブルが起こる。テストを繰り返すことと、バックアップ用機材を用意することで対応できた。実際、本放送ではビデオサーバーのバックアップが役立った。
インターネットを利用した質疑において、エル・ネットからの音のループ現象への慎重な対応策が必要だと感じられた。
   
(2)受講者の反応
 
今後の学習を進めるうえでたいへん参考になった。とくに今回、「生涯学習パスポート」についての関心が高まった。
本番では直接講師と対話することができたことで、理解が深まり、今後もこのような機会があれば、ぜひ参加したい。
エル・ネットをいつでも視聴できる部屋が無いため、いつでも、だれでも、番組を視聴できるような環境の整備が課題である。
「エル・ネット」「エイジレスタレント」「アンドラゴジー」「ペタゴジー」等新しい単語と内容を教えていただきたいへん参考になった。また、「生涯学習パスポート」は子ども、孫たちへの記録(家史)として残しておきたい。
各地におけるボランティア活動も参考になり、千葉県内の各地と提携しての活動が期待される。
最初の講義に参加しなかったので講座を聞く程度と思っていたが、ネットで流すということで驚いた。生涯学習パスポートという言葉も初めてでよく理解できなかったが、本日の振り返りビデオでその意図がわかった。
生涯学習パスポートについてはいろいろな意見がでたが、2つに分けて考えたらどうか。一つは自分の人生にどのように位置づけるかについて違ってくるが、日記的に自分史的に記録して当時の社会風景も併記すると、残された子ども達にも参考になるだろう。また、蓄積は知識・技術を社会に還元するという公的・社会的意義をもつ。経歴書・履歴書的な使い方で学習情報として人材情報に登録することが自己アピール資
料となり、また学習者の支援にもつながるだろう。
講義と質疑応答を分離しないほうがよい。(2回に分けると前回内容との連続性が弱くなる。)
内容的には各地域の事例紹介を多くすることが望ましい。(館山の事例など)
受講案内(PR)は早めに。対象者を明確にしてほしい。
事前学習、試験放送、公開講座と順を追って参加したおかげで、「生涯学習」の考え方、ツール、学習の結果を地域に生かすボランティア活動まで、いかに人生を「きわめる」かということが分かりました。「生涯学習パスポート」についての協議は、皆の共通の考えが出るまで盛り上がった。皆で一つのことを話し合うことで、考える「相互学習」が体験できた。
たった3回でもこれだけの学習効果が見られたのだから、今後は、定期的にこのような会合を設けてみたらどうか。少しずつではあるが、市民の中に「生涯学習」の考え方が浸透していくと思われる。
事前学習のみの参加の人をもっと積極的に受け入れても良かったのでは。公開講座に結びつかなくても今後に期待して長い目で見るということも必要に思う。
遠隔地にいながら大学教授との質の高い質疑応答ができたことによる満足感が得られた。
ライブ放送だったので緊張した。
 
(3)広報について
 

(我孫子市の広報より)
町の広報誌で公開講座開催を紹介したが、「エル・ネット」が町民にまだまだ浸透していないため、利用についてのPRが必要である。
年度当初に講座情報を町の広報誌やちらしやポスター等で紹介することや継続して情報を提供することで啓発が図れると思われる。
エル・ネット「オープンカレッジ」についての認知
度を深めるための広報としてポスターやパンフレット、チラシ等の配布、市町村の広報や定期ニュースへの掲載、全国の活用事例のビデオ紹介、公民館の学習プログラムとして設定、インターネットを利用した講座の配信などが考えられる。

(栄町の広報より)


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