●山形県の事例報告


1 趣旨
衛星通信を利用した講座を利用しながら、東北芸術工科大学と連携し、地域住民の生きがいと地域づくりに資することを目的とする。
2 委嘱期間
平成12年10月1日〜平成13年3月30日
3 委嘱事業の内容等
尾花沢市学習情報センター・ハイビジョンホールでの開講式から始まり、1月31日に収録済みの東北芸術工科大学『西洋美術史講座』を、150インチの大型ハイビジョンスクリーンを使用し、映像での公開講座を60分受講。
講座終了後、貸切バスにて第2会場である東北芸術工科大学に移動。大学内の学生食堂にて、学生達と触れ合いながら食事し、学生気分を体験する。午後は、特別講義として篠塚千恵子教授より直接指導を受け、より理解を深める。講義室で、90分のスライドを使用しての補足レクチャーを受けた後は、ギリシャへの関心も高まり、その後の質疑応答もより活発なものとなった。
特別講義終了後、学内の見学や学生の卒業作品展準備風景などに接することにより大学に対しての理解を深める。
再び、貸切バスにて尾花沢市学習情報センターに移動。
閉講式でアンケートへの協力依頼をし、オープンカレッジを終了する。

4 事業の実施経過
9月20日(木) モデル事業実施委員会・説明会(東京)
9月28日(木) 女性会議に出席し、モデル事業への協力を依頼する。
10月5日(木) 東北芸術工科大学への事業計画書発送、打ち合わせ依頼。
10月12日(木) モデル事業計画書・予算書提出。
1月10日(水) 東北芸術工科大学訪問。篠塚教授・担当事務員との打ち合わせ。
1月24日(水) 第1回オープンカレッジ尾花沢市実行委員会(9名全員出席)
1月30日(火) 受講案内のポスター、チラシ配布・発送。県内各図書館・教育関係者・市内小中学校・市内保育園・各施設・書店・市議会議員・県内報道関係者・その他
1月31日(水) 東北芸術工科大学『西洋美術史講座』を収録。
2月 1日(木) 尾花沢市報に掲載、市内全戸にチラシ配布し受講者募集。(受講希望者受付開始。)
2月 9日(金) 受講者受付終了。
2月14日(水) 受講者への確認の電話。
2月15日(木) 受講者への確認の電話。会場その他準備。最終確認。
2月16日(金) オープンカレッジ尾花沢『西洋美術史講座』開講。〜古代ギリシャへの誘い〜(71名参加)
3月 6日(火) モデル事業報告会(日本視聴覚協会)
3月 9日(金) 第2回オープンカレッジ尾花沢市実行委員会
3月10日(土) 報告書提出。

5 事業の成果と今後の課題
第1回目ということで、エル・ネットオープンカレッジに対しての理解を持ってもらうためには、まず、大学を知ってもらう必要があると考え、県内の東北芸術工科大学の講座に焦点を絞って進めた。
また、人口22,000人の小さな市であり、大学の公開講座に対しての関心度も心配されたことと、“大学に行ってみたい”という多くの声が聞かれたこともあり、“一日大学生”として大学まで行き、特別講義を頂くことを考案した。
従来通りの公開講座と大学講座の二方式を合わせた訳である。 『西洋美術史講座』〜古代ギリシャ美術への誘い〜という難しい講座を選定し、不安も大きかったが、いざ募集を開始してみると、意外にも市民の反応と関心が強く、オープンカレッジへの期待の大きさが伺えた。
30名の定員で募集を開始したが、すぐに定員となり、結局一般者60名、その他関係者11名、計71名の大集団となった。これは、今回特に広報に力を入れたことへの現れでもある。
市報への掲載、市内全戸(6,000枚)のチラシ配布、県内図書館・各施設教育関係者・各小中学校・各保育園・書店・その他へのチラシとポスター配布。各新聞社・放送局への報道依頼。また、女性会議に出向いての協力依頼。等とにかく、いろんな方面への広報活動に力を入れた成果であると思う。
 
事後に行ったアンケートの回収率66% (60名中40名回答)
その結果を集約すると、参加した人全員がほぼ満足しており、次回も参加したい、ぜひ計画してほしい、という声がほとんどであった。もっと勉強して、みんなでギリシャまで行こう!という声まであがった程である。また、今回の続き『イタリアギリシャ』を今度は、尾花沢でやりたい、という教授の話も聞かれた。講義の内容も、ほぼ満足してくれたようだが、やはり映像だけの講義よりも、午後の特別講義で直接質疑応答できたことが、より満足感を与えてくれたようである。今回は、二会場を利用しての“一日大学生”という体験を組み入れた内容であったが、それで満足出来た人、逆に、講座を2〜3回と継続し、真剣に公開講座を利用して勉強したい、と考えている人等いろいろである。また、テキストについて、字が小さすぎる、写真をもっと鮮明に、多少画像の乱れがある等、端的に答えてくれた意見も見られた。
しかし、いずれも教授の直接指導に深く感動しており、映像だけの講座よりも、一体感となれる双方向性を強く望んでいるのは、明確である。
また、今回満足度を高めてくれたもう一つの要因として、全体の進行やコーディネーターの選び方にあると思う。 両方を兼務とし、副実行委員長であり、芸術文化協会長でもある方にお願いしたことから、終始和やかな雰囲気の中で進めることが出来た。講座という堅苦しさを少なくするための、配慮である。
この尾花沢市の中にもいろんな事を体験し、勉強してみたいと考えている人が多数おり、今後のオープンカレッジに対する期待の大きさが伺える。 今後の課題は、単なる映像を視聴するだけだなく、みんなの期待する双方向性を充実させ、公開講座をもっと身近なものとして利用してもらうことが必要である。そのためには、広報に力を入れるとともに、各施設を利用した地域活動との協力体制が大切と思う。
最後に、今回受講して頂いたみなさんからの強い要望があり、尾花沢市学習情報センターでは、平成13年度事業の中に、今回の続きとして『イタリアギリシャ』篠塚千恵子教授の講義を、尾花沢で開きたいと考えています。
この機会を与えて下さいました視聴覚協会の方に、感謝したいと思います。
ご協力有り難うございました。

(山形県尾花沢市学習情報センター 井上慶子)