今後の研究課題〜地域映像教材の活用の方策について〜
調査研究委員会委員による座談会から
1.はじめに

高 村 調査研究のまとめとして、座談会という形で委員の方々にお話をしていただきます。
 この調査研究は、2つの内容に分かれています。1つは状況調査、そしてもう1つはモデル調査ということになっています。いずれも、1年間の実施を済ませて、ようやく調査結果のとりまとめの段階に至りました。
 そこで、まず座談会の冒頭で、その状況調査とモデル調査との2つの調査結果の内容、そしてそのとりまとめに当たって、そこからどのような特色が読み取れたのかという調査結果の概要をお話しいただきます。それをもとに、このメンバーで自由に話し合い、来年度の調査研究の課題を明らかにしていきたいと考えます。
 まず、松田委員から状況調査の調査結果の概要をお話し願います。

2.状況調査について

(1)紙面調査実施

  12,000本の地域映像教材
松 田 今回、紙面調査(以下、アンケート)を行いましたが、203の視聴覚センター・ライブラリーを対象に実施し、158施設から回答をいただき、内144施設が地域映像教材を保有しているとの回答でした。ここから、どのような地域映像教材を持っているかということに対して、約1万2,000という本数が出てきました。これは、以前考えていた本数をかなり超える本数で、こんなにあったのかという感じを持ちました。
 内容的には、地域文化に関するものが1,454本で13%ぐらい、地域の産業と伝統工業というものを合わせますと1,380本ぐらいで、11%を超える地域映像教材というものが保有されていました。
 この12,000本の中で分類していくと、今回6,000本ぐらいのものがその分類に該当しない、つまり分類しにくかったという問題が残りました。ですから、今回はそれなりに仮に分類を行いましたが、分類方法等についての再検討もアーカイブ化に際しては必要ではないかと思いました。
 地域映像教材を制作、保存していく上で、地域教材とか映像教材とか言ってきました。それには、2つの性格と3つの内容的なものがあると思います。


  地域映像教材の持つ2つの性格と3つの内容
 2つの性格とは、1つは地域映像作品です。1つの作品としてまとまりのある、テーマを持った、ストーリー性のある地域映像というものです。もう1つは、地域映像素材というのでしょうか、そのものにはテーマ性はないのですけれども、それをある目的に合わせて使うと効果を発揮するという資料性の高い映像です。この2つのものがあるのではないかということがわかってきました。
 もう1つ、切り口を変えてみると、前回のこの委員会でご指摘を受けたことで、地域教材と言っていますが、それは本当に他の地域から見ても使えるものなのかどうなのかということを訪問調査で調べる必要があるということがありました。調査結果から見ても、あるいはこれから申し上げます訪問調査の結果と合わせてみますと、大きく3つあります。
 1つは、その地域だけに利用価値のある映像、もう1つは、もちろん自分の地域でも利用価値はありますけれども、他地域でも十分に利用価値のある映像、3番目は、教材とか地域云々というよりも、そのことを記録するということに意味のある映像というものでした。大体、この3つぐらいに分けて考えることができるのではないかと思いました。

  残存する地域映像教材のメディア変換
 それから、地域映像はどういうようなパッケージで残っているのかということを調べてみました。VHS方式でのビデオが圧倒的でありました。でも、予想の中であまり出ないだろうと思われていた16ミリ映画フィルムやスライドといったフィルムパッケージのものなどもありました。それから、オープンビデオデッキや、Uマチック、ベータマックスなどという古いタイプのビデオテープなどもかなり残っていました。いずれも、こういうものを再生する機器が少なくなってきていますので、早急に保存、あるいは利用しやすいメディアへの変換が課題ではなかろうかということを感じました。
 各地域のデータから見ますと、保存状況を聞いたときに、80%近くがまだ利用できる段階にあると回答しています。しかし、その状況が悪くなってきているという回答も出ています。ですから、やはり貴重な映像が多いですから、今後は劣化して使えなくなってしまうということを避けるために、対応策を考える必要があるのではないかという感じを持ちました。

  地域映像教材のアーカイブ化について
 それから、アーカイブ化については、大半のところがアーカイブ化することに賛成であるとして、その有効性を認めています。しかし、現実的にはいろいろな問題がそこにはあるということが指摘されておりました。


(2)訪問調査実施

  山形北村山、京都、兵庫篠山、鹿児島の施設の訪問調査から 
 訪問調査では4つの視聴覚センター・ライブラリーを訪問し、聞き取り調査を行ってきました。1つは、兵庫県の篠山市視聴覚ライブラリーです。ここは、どちらかというと、職員が直接制作し、ボラン