2.質問紙調査
伊丹 和哉/事務局

<調査結果>

問1 貴施設が、保有している地域映像教材はありますか? ある場合は、その教材の保有数をご記入ください。
  ※ 注>この調査の対象にはNHK教育テレビなど放送番組を録画したもの、あるいは教材会社が独自に制作・開発した教材等は含みません。
 
アンケート対象センター数: 203か所
回答センター数: 158か所
有効回答センター数: 144か所
   (注.回答センターの内、地域映像教材を保有していると答えたセンター数)
教材保有総数: 11,838本
平均保有数: 82.3本
   
 21本以上自作教材を保有していると報告を受けた視聴覚センター・ライブラリー(以下AVLという)203か所を対象に調査した。有効回答のあった144か所のAVLにおいては、平均82.3本数の地域映像教材が保有されている。


問2 保有している地域映像教材は、どの分野のものが何本あるか、保有数をご記入ください。





 地域映像教材の分類13項目は、平成8年度の調査における分類と同じものを採用した。回答結果では、「地域の生活文化」が107か所、1,454本と最も多い。9つの分野で70か所以上かつ300本以上保有し、さまざまな分野の地域映像教材が数多く保有されていることがわかった。しかし、この分類ではあてはまらない教材も多く、分類の見直しが今後必要である。
 分類できなかった教材の主な分野としては、「歴史」「伝説・民話」「自然・山・川」「健康」「史跡」「文化財」「給食」「スポーツ」「施設紹介」等である。(次頁の「分類その他の内容」を参照)

<参考>その他(分類)の内容




問3 上記の地域映像教材は、どのようなメディアで制作・開発しているのかメディア別の保有数を下表にご記入ください。





  普及率の高いVHS方式のビデオで作成されている教材が最も多く、次いで、「スライド」・「16ミリフィルム」が多い。「8ミリフィルム」、「Uビデオ」・「βビデオ」も多数保有されているが、これらは制作から長時間経過したものが多いと思われ、教材の劣化や再生機材の老朽化による再生不可能などの問題が懸念される。他の利用しやすいメディアへの変換が今後の課題である。

問4 保有しておられる地域映像教材が現在利用可能か否か、下記の4つの状態にわけて実際の本数、あるいは大まかな割合(全体を100として)をご記入ください。



 約80%以上の自作教材が「利用できる」と回答したAVLが8割を占め、多くは現在利用可能な状態である。「多少状況が悪いが利用できる」の回答が3割、「状態が悪いので利用できない」の回答が約1割あり、教材の劣化が少しずつ出てきているようである。また、「再生機材がない・・」の回答も若干ある。これらの問題は今後増加することが予想され、劣化防止対策等が必要になると思われる。

問5 地域映像教材の保存の為、なにか手当をされていますか。該当する項目を○で囲んでください。(複数回答可)

 
(対象施設数=144)
(35か所/24.3 % ) ア、 湿度や温度等に配慮した保存をしている。
(12 〃 / 8.3 〃 ) イ、 デジタルメディアに変換して保存している。(例.VHS→DVD)
(16 〃 /11.1 〃 ) ウ、 アナログメディアに変換して保存している。(例.8ミリ→VHS)
(36 〃 /25.0 〃 ) エ、 同じメディアで複数保存している。
(83 〃 /57.6 〃 ) オ、 特別な保存措置はしていない。
( 0 〃 / 0.0 〃 ) カ、 わからない
( 6 〃 / 4.2 〃 ) キ、 その他
 
 半数以上のAVLが保存のための特別な措置はとっておらず、湿度や温度が管理された保存ができるAVLは1/4程度である。

問6 地域映像教材の利用者の為に、利便性を考えた措置をとられていますか。該当する項目を○で囲んでください。(複数回答可)

 
(対象施設数=144)
(23か所/16.0 % ) ア、 利用者が希望するメディアに変換して提供している。
(20 〃 /13.9 〃 ) イ、 複数のメディアにダビングして、複数の利用者に対応できるようにしている。
(32 〃 /22.2 〃 ) ウ、 地域の学校等へ一括して配布するようにしている。
(16 〃 /11.1 〃 ) エ、 わからない。
(56 〃 /38.9 〃 ) オ、 その他

 「その他」の回答が多いが、ここでは「措置を特にしていない」「目録の作成と配布」の記入が多く見られた。


問7 地域映像教材について、保存のための特別な経費をかけていますか。該当する項目を○で囲んでください。(複数回答可)

 
(対象施設数=144)
(15か所/10.4 % ) ア、 貴重な資料と判断した地域映像教材の場合は、複製あるいはメディア変換等する費用を用意している。
(86 〃 /59.7 〃 ) イ、 教材の劣化を防ぐための特別な経費は用意していない。
(83 〃 /57.6 〃 ) ウ、 他の教材と同様な扱いとしている。
(16 〃 /11.1 〃 ) エ、 状態が悪くなった教材は、特に保存措置等は講じず廃棄処分としている。
( 3 〃 / 2.1 〃 ) オ、 わからない
( 7 〃 / 4.9 〃 )   その他

ほとんどのAVLで、特に劣化防止のための措置をとっておらず、他の教材と同じように扱っているといえよう。地域映像教材に限らず、予算が厳しい中における教材の劣化防止が今後の課題となる。


問8 地域映像教材の著作権については、どのように措置をしておられますか。自施設作成教材(所属する教育委員会等の機関を含む)と他施設作成教材(他団体等機関及び個人を含む)とに分け、該当する項目を○で囲んでください。 (複数回答可)


 
(対象施設数=144)

(1)自施設で作成したもの

(66か所/45.8 % ) ア、 施設が著作権を持つものは、肖像権や音楽使用権等に配慮し、権利を侵害しないようにしている。
(63 〃 /43.8 〃 ) イ、 地域を素材としているので、権利の侵害にならないよう事前に了解をとりながら開発を進めている。
(28 〃 /19.4 〃 ) ウ、 地域映像教材の場合、あまり著作権を意識していない。
( 7 〃 / 4.9 〃 ) エ、 よくわからない。
(10 〃 / 6.9 〃 ) オ、 その他

 
(対象施設数=144)
                           
(2)他施設から受け入れたもの

(53か所/36.8%) ア、  内容のチェックを行い、もし権利を侵害する事項があれば、そのクリアに努力している。
(34 〃 /23.6〃) イ、  地域映像教材の場合、あまり著作権を意識していない。
(12 〃 / 8.3〃) ウ、  よくわからない。
(20 〃 /13.9〃) エ、  その他
                                  
 地域映像教材を自施設で作成する際には、著作権を意識している様子がうかがえる。他から受け入れたものについては、自施設で作成したものより著作権意識がやや弱い。


問9 情報通信ネットワークの進展に伴い、各視聴覚センター・ライブラリーが持つ、地域映像教材をデジタル化して整理分類し、地域内または他の地域の学習者にも自由に活用できるようにしようという計画が進められていますが、どのように思われますか。該当する項目を○で囲んでください。(複数回答可) 
                                   
 
 
 (対象施設数=144)

(108か所/75.0 % ) ア、  地域映像教材は、社会科や総合的な学習の時間など、学校教育の授業の中で活用できるので有効である。
( 27 〃 /18.8 〃 ) イ、  地域映像教材は、修学旅行等の校外学習の事前学習に最適なので有効である。
( 90 〃 /62.5 〃 ) ウ、  地域映像教材は、生涯学習センターや公民館等で行われる郷土学習の教材として有効である。
( 16 〃 /11.1 〃 ) エ、  地域映像教材は、旅行などの際に地域に関する詳細な情報が得られるので有効である。
( 51 〃 /35.4 〃 ) オ、  地域映像教材をデジタル化するための予算措置等が講じられれば、当館も教材を提供したい。
( 40 〃 /27.8 〃 ) カ、  著作権の処理ができる教材については提供してもよい。
( 25 〃 /17.4 〃 ) キ、  デジタル化や整理分類についてのノウハウが分かればぜひ取り組みたい。
( 34 〃 /23.6 〃 ) ク、  ぜひ取り組んでみたいが、著作権処理やデジタル化の作業など難しい点が多い。
( 7 〃 / 4.9 〃 ) ケ、  地域映像教材を相互利用する必要性は感じられない。
( 13 〃 / 9.0 〃 ) コ、  その他

  地域映像教材は、学校教育・社会教育両面に有効であると認識している。予算措置、著作権、デジタル化のノウハウ等の問題が解決されれば、デジタル化への取り組みが進むと考えられる。