.生涯学習におけるeラーニングの活用事例


生涯学習におけるeラーニング活用事例調査を行っての所感


   現在、eラーニングを活用した生涯学習における学習者の意識としては、一般には社会人向けの能力開発やスキルの向上を中心に捉えられているところであろう。

 その中で、今回聴取を行った企業におけるeラーニングの取組においては、入社時やスキルアップの場面のみならず、日々の業務改善のための学習にも役立てられていることが分かり、活用の幅が拡大・浸透していることが理解できた。さらに、教育分野においては、通信制の学校において、特に臨場感を生む機能や対面型の指導、受講者からのフィードバックの確保など、さまざまな手法によって双方向性を確保しようとする取組が示され、一方向的な受身の受講という形態にならないようにシステム上の工夫や配慮が進んでいることも理解できた。

 社会教育における取組では、企業研修の修了や資格取得・スキルアップといった明確な到達点が存在しない中、各団体が自ら目標を設定して意欲的に取り組まれることにより、eラーニング学習の展開が全国各地で進んでおり、心強く感じているところである。その中で、各団体において講座に関する企画・運営を行う人員が少ないところで、どのように特徴付けを行い、何を実施していくか、という点が重要であると感じられた。

 今後の国の果たす役割として、それぞれの取組及び講座内容の紹介を積極的に行い、各地域や団体それぞれで制作したコンテンツが有効に活用される体制の整備を行っていくことが考えられる。初等中等教育における教育用コンテンツや実践事例に関しては、既に教育情報ナショナルセンター(NICER、http://www.nicer.go.jp)における取組が進んでいるが、生涯学習情報の収集・提供体制についても強化に努めているところであり、後述の山田恒夫委員による提言の中にも記述のあるNIME-GLAD(http://nime-glad.nime.ac.jp)における取組などとの連携を想定しつつ、さまざまな学習情報を統一的に収集・提供するサイトの構築に取り組んでいく必要があると考えている。

(文部科学省生涯学習政策局参事官(学習情報政策担当)付学習情報係主任 遠藤 浩)