. 社会教育における情報機器活用調査

1.調査の概要
中山 実
原 義彦

4.実践の経過

 本調査研究の実践調査研究を進めるにあたって、調査研究委員会は第1回(平成15年10月6日)、第2回(同年10月15日)および第3回委員会(同年11月21日)において実践調査研究の具体的な内容、および実践を委嘱する全国の社会教育施設の委嘱先等について協議を行った。

 協議の結果、委嘱先では、地域の理解、地域づくり、さらには地域における課題の解決等をテーマとして活動していただくことになった。各施設等における実践の本来の目的は尊重しながらも、それらの活動が地域の理解、地域づくり、地域における課題の解決という点にどのような関わりをもっているか、また、そうしたことに対してどの程度成果がみられるか、さらには、地域づくりや地域課題の解決に向けてどのような課題が考えられるかといった点を、情報機器を活用してコンテンツとして作成し、それらを公開または提示しながらインターネットテレビ会議システム等を用いて協同で報告、討議を行う計画が決められた。

 このようなテーマで協同による学習を行うことの意義として次の2点があげられた。第1は、地域においてそれぞれの地域の情報を収集し、学習者間での情報交換や情報の保存に最先端の学習機器が活用できることである。第2は、地域の課題はその地域の中だけで考えることで解決を図ろうとすることには限界があることから、他の地域の取り組みを参考にして、それを通じて学ぶことで広い視野から自分たちの地域の理解や課題の解決に取り組むことができると考えられることである。

 そして、具体的に各施設等においては、可能な範囲で次のような点を試みることになった。

各施設等での実践学習グループへの参加者各自が、活動の様子をデジタルファイルとして情報機器に取り込む。
取り込んだ情報は、共通のサーバー等に蓄積する。
各施設等の活動の状況や成果、課題等をまとめ、Web上に公開する。
他の施設等の活動やその成果、課題等を参考にしながら、自分の地域での活動を進める。
    また、本調査研究委員会では可能な範囲で次のことを行うことになった。
各施設等での成果をそれぞれ他の施設等での学習者がアクセスできるようにする。
最終的には、各施設等の実践学習グループの代表者等が、インターネットテレビ会議システムを通じて全体で協同による討議を行う(以下項目〈インターネットテレビ会議システムを活用した実践〉に詳細を記す)。

 調査研究委員会は、このような協議を通じて、同年12月、上記の北海道、東京、富山、宮崎の各施設等に実践研究調査を委嘱した。

 同年12月以降、委嘱を受けた各施設等において、実践学習グループの活動を中心に本研究調査の実践調査研究が進められた。なお、学習グループの具体的な調査研究内容については、次章で述べる。

〈インターネットテレビ会議システムを活用した実践〉
 本調査研究の委嘱期間内に、計3回にわたって各施設等をインターネットテレビ会議システムで結び、相互にそれぞれの活動状況の報告、成果、課題、およびそれらの活動の地域づくりへの関わり等について討議を行った。

1)第1回インターネットテレビ会議 平成16年1月27日 17:00〜17:50
   第1回目は、オホーツク・文化交流センター、足立区生涯学習センター、岡山市立御南西公民館、富山インターネット市民塾推進協議会事務局を結んで行われた。各施設等における実践学習グループの活動についての報告ののち、足立区ITサロン、ITサロンと同様なボランティア活動をすすめている岡山の「じょぼら会」のメンバーによるITボランティアの取り組み、成果、課題等の報告を中心に進められた。他の東京会場から、調査研究委員会委員も同席し、報告内容についての質問を行った。

2)第2回インターネットテレビ会議 平成16年2月17日 18:30〜19:00
   第2回目は、オホーツク・文化交流センターと宮崎大学生涯学習教育研究センターを結んで、まなびシティ・オホーツクと地域活性化塾のメンバーらによる活動状況の報告と活動についての意見交換を行った。

3)第3回インターネットテレビ会議 平成16年2月27日 17:00〜18:10
 

写真1 
インターネットテレビ会議システムを活用して

3回目は、オホーツク・文化交流センター、足立区生涯学習センター、富山インターネット市民塾推進協議会事務局、宮崎大学生涯学習教育研究センターを結んで行われた(写真1)。

  まず、前半は、「ボランティア活動を地域づくりに生かす工夫」というテーマで、まなびシティ・オホーツクと地域活性化塾のメンバーによる討議を行った。また、このときは、インターネットテレビ会議システムの文書共有機能を用いて、各参加地点で共通に見ることができるパソコン画面を提示し、出された意見などをパソコン画面上に逐一打ち込み、各施設等の参加者の共通理解が図れるようにした。宮崎からの地域活性化塾についての報告では、活動の様子を撮影した写真も文書共有機能を用いて提示しながら説明が行われた。前半の協議の最後には、出された意見や項目をインターネットテレビ会議システムの白板モードでペン機能を使ってまとめる試みを行った。後半は、足立と富山からも活動の状況や課題等について文書共有機能を使ってホームページを提示しながらの報告ならびに質議、意見交換を行った。
 
 東京会場からは調査研究委員会委員が参加し、各施設等の活動について質問をするとともに、インターネットテレビ会議による討議全体についての感想を寄せた。