.国内における最新の学習資源提供機器利用調査

教育活用実践事例調査(5)
〔教育機器・システム〕 《音声再生本》
〔一般向け情報通信機器・システム〕
〔ユーザーインターフェース用機器〕

想像性、集中力を楽しみながら養う

(1) 機器機能
   本を載せワイヤレスペンでタッチすると、音や音楽、音声で問い掛けたり答えたりしてくれる、対話型教育プラットフォーム。CD並の高音質を実現、最大約70分、本のページは最大128ページに対応している。本を自分で開きペンタッチするという自発的な動作と音声による臨場感、目にやさしい本の一覧性の視覚効果により、子どもたちの積極性や想像力、好奇心を育む。

(2) 教育機関の概要
   東京都・私立三軒茶屋幼稚園 園児数97名。園内には、テレビやビデオはある。LANやパソコン等のOA環境はない。

(3) 活用目的
   集団生活でのルールや想像性、集中力等を楽しみながら身につける。

(4) 活用概要・対象者
   子どもがお迎えを待っている時間や、雨天時外で遊べない時に活用。折り紙や粘土のような、遊びの選択肢の1つとして、子どもたちが自由に使えるようにしてある。教諭2名、もしくは教諭がいなくても対応可。園児10〜15名。

(5) 実践内容
   教諭が基本的な使い方(電源ON、OFFや各ページのスタート方法等)を、最初に興味を持った子どもに教えると、その子がリーダーとなり他の子どもに教える。そうすると今度はそのリーダーに教えてもらった子どもが、他のグループの子どもたちに教えるという流れが、子どもたちの間で自然にできていく。

(6) 学習効果
 
 カラフルな絵の本から音声や音楽が聞こえてくると、興味を引かれた子どもたちが次第に集まってきた。皆好奇心旺盛なためペンの奪い合いになるかと思われたが、どういう順番でペンを回すか、1回に1人何ページまで進んでいいかというルールを、子どもたち自身で作りあげていった(上写真)。また、英語に興味を持つ子もおり、単語や会話の意味は分からないものの、英語を音として聞き、その音を楽しんでいた。大人が付いて細かい説明をしなくても、子どもたちだけで遊びを追求し、ルール作りや情報交換を積極的にすることで、子どもたちに自主性が生まれてくる。自分で本にペンタッチすると本が応答してくれることで、子どもたちは夢中になり、探究心や集中力が養われていく。画面ではなく、本なので目が悪くなる心配もない。


(7) 利用可能な活動と利用上の留意点
   ワイヤレスペンを何本も追加できるが、ありすぎるとかえって混乱するので、1台に1本で十分。また、本なので何度も使っていくうちに傷んでくることが心配。年少では音が出ることに興味を持つくらいなので扱いも雑になるため、どうなっていくのか掘り下げていく力を持ってくる年中あたりから使い始めるのがよいのではないか。

(8) 報告者
  東京都・私立三軒茶屋幼稚園教諭 前川 芳子

(9) 資料提供
   東芝ティー・ディー・エデュケーション株式会社 http://www.ttd.Toshiba.co.jp
 機器型名 EXP−201L、EXP−201H