.国内における最新の学習資源提供機器利用調査

教育活用実践事例調査(3)
〔教育機器・システム〕 《デジタル顕微鏡》
〔一般向け情報通信機器・システム〕 《ハードウェア》

プレゼンテーション力を養う

(1) 機器機能
   パソコンにUSBで簡単に接続して使える顕微鏡で、透過照明、反射照明、斜め透過照明での試料観察ができる。ズーム比13、最高表示倍率260倍。
 また、頑丈でありながら1,500gと顕微鏡としては軽いため、低学年の児童でも取り扱える。観察した対象を、簡単にデジタル写真やデジタルムービーに残せるので、パソコンを使ったプレゼンテーション作成にも使える。

(2) 教育機関の概要
   茨城県稲敷郡江戸崎町立江戸崎小学校 全校生徒児童 444名。
 校内は、職員室に20台のコンピュータが各教員に割り当てられている。また児童用にコンピュータ教室があり、20台のLANに接続された(インターネット利用も可)コンピュータを設置。セキュリティーを高めるため、職員室とコンピュータ教室はLANでは接続されていない。

(3) 活用目的
   デジタル機器を使ったプレゼンテーション、およびアナログ機器とデジタル機器の使い分けの体得。

(4) 活用概要・対象者
   全学年を対象に、理科研究生制度を実施している。理科の自由研究をする理科研究生は、理科教材機器等を各々の研究テーマのために、自由に使って良いことになっている。
 理科研究生になるためには、研究テーマを担当教諭2名に申し出て、受け入れられることが必要である。現在140名程度の理科研究生が、各々のテーマに意欲的に取り組んでいる。
 今回デジタル顕微鏡を活用した授業学習は、5年生と6年生の理科研究生12名を対象に光学顕微鏡(アナログ顕微鏡)12台と、デジタル顕微鏡1台を使って微生物標本や生きた微生物の観察を行った。

(5) 実践内容
   目的は、光学顕微鏡(アナログ顕微鏡)とデジタル顕微鏡の基本操作の習得であるがそれとともに、アナログとデジタルの違い、デジタル化することによる良い面、悪い面を知り、観察結果のまとめ、プレゼンテーション(教師や他の児童への説明)を行う過程で、その違いを体得することにある。

(6) 学習効果
   12名の児童は、各々光学顕微鏡を使い、微生物を観察する(写真1・2)。その中で面白い微生物を発見した児童は、サンプルをデジタル顕微鏡に移し、コンピュータのモニターを使って、教師や他の児童に説明する。理科研究生全員に説明する際には、LCDプロジェクター*を使う。
 これにより、児童は自分の肉眼で見た光学顕微鏡の画像とデジタル顕微鏡で見た画像の違いを認識確認することでができ、デジタル画像はアナログ画像に比較して、劣化することを認識する。また、デジタル化することでパソコン画面に表示でき、皆に説明する上で便利なことも認識する。すなわち、デジタル化の良い面、悪い面の両面を児童は理解することになる。これは児童たちが、今後ますます発展するであろうデジタル機器を使ってく上で大切な知識である。45分の授業時間であったが、子どもたちのミクロの世界に対する関心は高かった。
*Liquid Crystal Display=液晶表示装置


 
写真1・光学顕微鏡で微生物を観察する児童たち  写真2・デジタル顕微鏡で他の児童に説明する児童

(7) 利用可能な活動と利用上の留意点
   学校以外でも、家庭で夏休みの自由研究等にも活用できる。コンピュータ画面で観察できるので、家族で観察像を見ながら親子の交流が図れる。また、家庭ならではの観察対象、例えば、苺等のくだものなどを観察するといった日常生活の中でのミクロの世界を気軽に覗く、広い意味で児童の科学する芽を育てるための活用も期待できる。
 使用上の留意点としては、落射照明の際にフロストフィルターを引き照明光を強めることを忘れない、USBポートからデジタル顕微鏡に電流が供給されているため、他のUSBデバイスで大きな電流を消費するUSBデバイスを同時に使わない等である。

(8) 報告者
  茨城県稲敷郡江戸崎町立江戸崎小学校教諭 幸田 尚志  

(9) 資料提供
   オリンパス光学工業株式会社 http://www.mic-d.com
 機器型名 MIC−D