3 質問紙調査

(6)機関別傾向の分析

研修の現状と今後に関して
A-1. 研修の重要性・必要性について
(研修の重要性・必要性について、どのようにお考えですか:複数回答可)
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
指導者育成のため
(75.00%)
知識・技術の向上のため
(73.68%)
知識・技術の向上のため
(52.17%)
機材の有効利用のため
(75.64%)
知識・技術の向上のため
(90.00%)
指導者育成のため
(78.95%)
指導者育成のため
(60.87%)
知識・技術の向上のため
(76.92%)
機材の有効利用のため
(37.50%)
機材の有効利用のため
(52.63%)
機材の有効利用、メディア利用状況周知のため (39.13%)
メディア利用状況周知のため
(46.15%)
<いずれの機関においても、教職員の知識・技術の向上、指導者育成のために研修が重要という意見が多い。市視聴覚センターでは、機材の有効利用のために重要という回答が非常に多いが、このうち83.05%は予算確保の状況が平均値以下である。研修の重要性を否定する意見は各機関で5%以下と少ないことから、研修の重要性は高いといえる。>

A-2. 予算確保の状況について
(ここ3年間の、貴機関における総事業費に対する研修のための予算の割合をお答えください)
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
H12
17.99%(予算あり:97.50%)
1.39%(予算あり:84.21%)
4.85%(予算あり:69.57%)
6.57%(予算あり:84.62%)
H13
18.34%(予算あり:97.50%)
2.89%(予算あり:89.47%)
4.52%(予算あり:69.57%)
6.10%(予算あり:84.62%)
H13
17.78%(予算あり:97.50%)
2.56%(予算あり:84.21%)
5.01%(予算あり:65.22%)
6.91%(予算あり:84.62%)
<各機関における年度ごとの研修予算の割合に大きな変化はない。予算の多少については、かなりばらつきがあるものの、全体として85%以上の機関が研修のための予算を確保していると回答している。これより、各機関ではそれぞれの状況に合わせ、毎年一定度の予算を確保して堅実に研修を行っているものと考えられる。>

  A-3. 参考資料の活用状況について
(研修の企画・内容決定の際に、現在、参考にしている資料はありますか)

<生涯学習センターを除く機関の50.35%が参考資料を活用しておらず、研修計画策定の基準はあまり明確ではない。参考資料を用いている機関の71.05%が「標準」を活用(設問A-4)、参考資料を用いていない機関の72.37%が「標準」を知らないと答えていることから、現状に即した「標準」を整備することでその活用が促進されるものと思われる。>

  A-4. 「標準」の活用状況について
(現在、「カリキュラムの標準」を参考資料として活用していますか)

<52.63%の生涯学習センターが「標準」を参考資料として活用しているが、それ以外の機関では51.06%が「標準」を知らないと答えている。「標準」の周知、活用が上手くいっていない原因として、「標準」が現在のメディア状況に対応できなくなってきている問題や、数年ごとに研修担当者が変わることによる機関での業務引継ぎの問題が考えられる。>

A-5. 研修内容決定の基準について
(研修の内容はどのような基準から決定していますか:複数回答可)
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
当面の教育課題から
(70.00%)
将来の必要性から
(47.37%)
習得すべき技能から
(52.17%)
習得すべき技能から
(50.00%)
習得すべき技能から
(67.50%)
教育メディアの動向から
(47.37%)
受講者の要望から
(43.48%)
機材の保有状況から
(46.15%)
将来の必要性から
(62.50%)
教育メディアの動向から
(43.48%)
受講者の要望から
(43.59%)
<機関ごとに、研修内容決定の基準が大きく異なる。設問A-6と合わせてみてみると、習得すべき技能から内容を決めている機関の79.52%がA-6で研修内容の根拠を、メディアの動向から決めている機関の62.30%がA-6でねらいと成果を示す資料を求めている。これより、「どの技能をなぜ身に付けるべきか」ということに対する関心と、「どのメディアを活用して何ができるのか」ということに対する関心とが存在すると考えられる。>

A-6. 研修の企画に際して参考となる資料について
(予算の確保、内容の決定の際にはどのような資料が参考になると思われますか:複数回答可)
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
研修の必要性を示す
(67.50%)
研修の必要性を示す
(73.68%)
研修の必要性を示す
(65.22%)
研修の必要性を示す
(60.26%)
ねらいと成果を示す
(55.00%)
ねらいと成果を示す
(57.89%)
他地域の事例を示す
(39.13%)
ねらいと成果を示す
(47.44%)
他地域の事例を示す
(45.00%)
内容と範囲を示す
(36.84%)
ねらいと成果を示す
(30.43%)
内容と範囲を示す
(37.18%)
<いずれの機関においても、研修内容の根拠を求める意見が6割を超えている。また、研修のねらいと成果を示す資料を求める意見も比較的多い。このことから、特定の知識・技能をいかにして、なぜ獲得すべきかを「標準」で示すことが求められているといえる。>

B-1. 定員確保のための方策について
(研修の定員確保のための方策をお答えください:複数回答可)
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
ガイド・計画表を配布
(77.50%)
ガイド・計画表を配布
(57.89%)
ニュースレターを配布
(26.09%)
ニュースレターを配布
(73.08%)
Webページを活用
(67.50%)
ニュースレターを配布
(52.63%)
Webページを活用
(26.09%)
インセンティヴを用意
(42.31%)
ニュースレターを配布
(50.00%)
Webページを活用
(47.37%)
機器使用に研修が必須
(41.03%)
<各機関では、研修ガイドブックや研修計画表、ニュースレターを配布したり、Webページに研修の予定を紹介するなど、広報に力を入れることによって研修の定員確保を目指しているものと思われる。機器の使用に際して研修の受講が義務付けられているものとして、16ミリ映写機があがっている。>

B-2. 定員確保の状況について
(研修の定員確保の状況をお答えください:複数回答可)
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
各講座で定員確保可能
(52.50%)
一部講座で定員確保困難
(36.84%)
各講座で定員確保可能
(26.09%)
一部講座で定員確保困難
(35.90%)
一部講座で定員確保困難
(30.00%)
各講座で定員確保可能
(26.32%)
受講の募集を要請
(21.74%)
各講座で定員確保可能
(28.21%)
受講の募集を要請
(10.00%)
受講の募集を要請
(15.79%)
一部講座で定員確保困難
(17.39%)
ほとんどが定員に達しない
(20.51%)
<52.50%の教育センターが各講座で定員を超える応募があるという回答しているが、全体的に、定員確保が上手くいっている機関と、定員確保に困難を感じている機関とに分かれている。定員の確保が難しい講座として、16ミリ映写機やビデオ教材制作、プログラミング、データベースに関する研修があげられた。>

C. 研修のニーズについて(自由記述からの集計、Nは各々の回答数)
(近年、ニーズが高まっているのは、どのメディアを使ったどのような内容の研修ですか)
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
デジタル・プレゼンテーション
(62.50%)
動画(ノンリニア)編集
(52.94%)
動画(ノンリニア)編集
(44.44%)
動画(ノンリニア)編集
(46.27%)
動画(ノンリニア)編集
(55.00%)
ホームページ作成
(47.06%)
デジタル・プレゼンテーション
(38.89%)
コンピュータ全般
(34.33%)
画像の編集・変換
(37.50%)
デジタル・プレゼンテーション、コンピュータ全般 (29.41%)
コンピュータ全般
(38.89%)
デジタル・プレゼンテーション
(31.34%)
<いずれの機関においても、近年ニーズが高まっている研修内容として、動画のノンリニア編集やデジタル・プレゼンテーションに関する研修など、コンピュータを使った研修があがっている。特に、動画(音声含む)・静止画の作成、編集、変換、配信に関する研修にニーズが集中している。>

C. 研修のニーズの低下について
(近年、ニーズが低くなっているのは、どのメディアを使ったどのような内容の研修ですか
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
OHP(65.71%)
OHP(57.14%)
16ミリ映写機(83.33%)
16ミリ映写機(63.64%)
スライド(57.14%)
スライド(42.86%)
OHP(50.00%)
OHP(37.88%)
16ミリ映写機(31.43%)
ビデオ、16ミリ(21.43%)
スライド(44.44%)
スライド(27.27%)
<各機関に共通して、近年ニーズが低下してきている研修として、OHPやスライド、16ミリ映写機に関する研修があがっている。研修現場では、OHPやスライドはデジタル・プレゼンテーション(プレゼンテーションソフト)に、16ミリ教材はDVにと、アナログ・メディア、コンテンツからデジタル・メディア、コンテンツへの転換が求められているといえる。>

C. 研修の将来的なニーズについて
(数年後、どのメディアを使ったどのような研修の必要性が高まっていると予想されますか)
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
動画(ノンリニア)編集
(50.00%)
動画(ノンリニア)編集
(25.00%)
インターネット
(42.86%)
動画(ノンリニア)編集
(46.88%)
Webでの映像の配信・受信
(40.00%)
デジタル・プレゼンテーション
(25.00%)
動画(ノンリニア)編集
(38.10%)
コンピュータ全般
(25.00%)
マルチメディア教材作成
(32.50%)
画像の編集・変換
(25.00%)
コンピュータ全般
(38.10%)
デジタル・プレゼンテーション
(23.44%)
<将来的なニーズとして、ノンリニア編集やデジタル・プレゼンテーションがあがっているが高い割合ではなく、回答にばらつきがある。Webでの映像の配・受信やネットワーク関連の研修に対するニーズの高まりを予想する意見が各機関で20余%ずつあることから、今後は、作成したデジタル教材・素材をWeb上でいかに共有するかにニーズが移行していくと思われる。>

-1. 標準の必要性について
(研修カリキュラムの「標準」に類する資料は、必要であると思われますか。)

<いずれの機関においても、研修の企画・内容決定の際に参考にする資料として「標準」が必要であるという意見が7割を超えており、非常に多い。予算確保の拠り所として必要であるという意見も加えると、85%以上の機関が「標準」を求めている。このことから、研修カリキュラムの「標準」に類する資料の必要性は非常に高いといえる。>

-2. 研修科目の紹介の仕方について
(研修科目(講座)の紹介の仕方として望ましいものをお選びください)

<研修科目の大枠のみを「標準」で示すのを求める意見が、いずれの機関においても最も多いが、研修内容の詳細を示すことを求める意見も全体の35.00%にのぼる。新たなメディアを使った新たな研修内容については詳細を示し、それ以外の内容については、大枠のみを示すなどの対応が考えられる。>

-3. 研修科目の分類方法について
(研修科目(講座)の分類の方法として望ましいものをお選びください:複数回答可)
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
習熟度による分類
(60.00%)
習熟度による分類
(78.95%)
習熟度による分類
(69.57%)
学習対象による分類
(73.08%)
習得すべき技能による分類
(57.50%)
習得すべき技能による分類(68.42%)
習得すべき技能による分類
(60.87%)
習熟度による分類
(65.38%)
学習対象による分類
(50.00%)
学習対象による分類
(57.89%)
学習対象による分類
(47.83%)
習得すべき技能による分類
(53.85%)
<学習者の習熟度による分類を求める意見が各機関で60%を超えており、習得すべき技能による分類を求める意見もまた、各機関で50%を超えている。全体の38.75%の機関が両方の回答を選択していることから、習熟度と習得すべき技能とを組み合わせた研修科目の分類が望まれているといえる。>

-4. 時間配分の目安の提示について
(「標準」に研修時間配分の目安は示されるべきであると思われますか。)

<研修にかかる正味時間や日数によって研修時間の配分の目安が示されるのを望む意見が、各機関に共通して最も多い。一方で、時間配分の目安を必要としないという回答も各機関で20%を超えている。新たな内容の研修については、「標準」において時間配分の目安を示すなどの対応が必要と思われる。>

-5. 評価方法の指針の提示について
(「標準」に研修の評価についての指針は示されるべきであると思われますか。)

<いずれの機関においても、評価の観点や基準が示されるのを求める意見が6割を超えており、非常に多い。評価の方法の提示を求める意見を合わせると、8割以上の機関が、何らかの形で「標準」に研修の評価についての指針が示されるのを求めている。これより、研修の評価についての指針を「標準」で示す重要性は高いといえる。>

-6. 研修事例の紹介について
(「標準」に研修の事例は示されるべきであると思われますか。)

<研修の内容に関する簡単な事例の紹介を求める意見が各機関で6割を超えている。詳細な事例の紹介を求める意見と合わせると、全体の9割以上が事例の紹介を求めており、事例紹介に対する要望は非常に高いといえる。新たな研修の試みは詳しく紹介し、それ以外の事例はその特徴を中心に簡単に紹介するという紹介の仕方が考えられる。>

-7. 「標準」の配布方法について
(「標準」の配布の方法として望ましいものをお選びください:複数回答可)
教育センター(N=40)
生涯学習センター(N=19)
県視聴覚センター(N=23)
市視聴覚センター(N=78)
Web上で公開(85.00%)
Web上で公開(89.47%)
Web上で公開(86.96%)
冊子を配布(64.10%)
冊子を配布(52.50%)
冊子を配布(63.16%)
冊子を配布(65.22%)
Web上で公開(60.26%)
電子媒体を配布(25.00%)
電子媒体を配布(42.11%)
電子媒体を配布(21.74%)
電子媒体を配布(35.90%)
<いずれの機関においても、Web上での公開を求める意見が6割を超えており、非常に多い。また、同時に冊子(印刷媒体)の配布を希望する意見も各機関で5割を超えている。「標準」の大幅な改正については冊子で通知し、小幅な改正の通知や研修事例の紹介をWeb上で行うという対応が望まれているものと思われる。>

-8. 研修の実施段階について
(従来の「標準」に基づく研修では、国、県、市の3段階を設けていましたが、今後の実施段階として望ましいものをお選びください。)

<機関ごとに回答結果が大きく異なる。市視聴覚センターでは、3段階研修と県・市の2段階研修を求める意見が多く、教育センターと県視聴覚センターでは、2段階の研修を求める意見はほとんどない。このことから、都道府県機関では国の指導力を望んでいるのに対し、市区町村機関では他の研修期間との連携を望んでいるものと考えられる。>