2 訪問調査

岡山県生涯学習センター
調査実施日 平成14年11月8日
調査対応者 近藤 博(岡山県生涯学習センター情報課長)

施設の概要
  施設名 岡山県生涯学習センター   開所 平成9年2月21日
  設置者 岡山県  所 長 黒瀬 定生
  〒700-0016 岡山市伊島町3丁目1番1号
  tel:086-251-9750(代) fax:086-251-9757
  e-mail:syogaise@pref.okayama.jp
  ホームページ http://www.pal.pref.okayama.jp/
  交通機関 JR山陽本線 岡山駅西口 車 約5分
     岡山バス   岡山駅西口から中央病院線京山入口下車徒歩8分

1.研修の内容・方法に関して(一般的事項)
パソコンを活用したプレゼンテーションやホームページの作成に関する講座を中心に実施している。現在、映像関係ではアナログ映像のデジタル化やノンリニア編集、アナログ映像のデジタル化についての講座・研修を行っており、16ミリ映写機の利用法は年2回の実施にとどまっている。

2.研修の企画・内容の決定に関して
・誰が、どのようにして研修を企画し、内容を決めているか?
内容は、センター情報課職員で企画立案している。

・研修の企画・内容決定の際、なにを参考にしているか?
講座最終日にアンケートを実施し参考にしているが、講座の見直しや立案に生かしきれていないのが現状である。

・「カリキュラムの標準」は研修の企画・内容決定の際の参考資料として有用であるか?
「カリキュラムの標準」は、予算獲得の根拠になり得るが、補助金が付かなくなってからは、情報化社会の進展等による社会情勢から講座内容を考えており、現在では、動画やインターネットなどパソコンを活用した研修が主である。

3.予算措置に関して
・1回の研修に割り当てられる予算はどの程度であるか?
視聴覚教育指導者に関する研修に対しての予算は十分でないのが現状である。外部講師は招聘せず、原則として所員が指導に当たっている。

4.研修の開催回数などに関して
・年間に何回程度、視聴覚メディア研修を行っているか?
教育メディア利用講座を前期と後期の年2回実施している(のべ4日間)。
その他、13年度には映像ボランティア養成講座を4期・27回、パソコンの指導者養成講座を9回実施した。

・地域の必要な場所に出かけて出前研修などを行っているか?
パソコンの指導者養成講座は、県内を4地区に分けて出前講座を行っている。

5.広報・周知の方法に関して
・研修(募集)の周知はどのようにして行っているのか?
基本的にはHPによる広報と市町村教委並びに生涯学習機関等へ募集要項を直接送付している。内容によってはラジオ等でも紹介することもある。

6.研修のねらい(目標)に関して
・研修のねらいをどのように決定しているのか?
センター独自で決定している。

・研修のねらいを受講者に明示しているか。受講者は研修のねらいを理解しているか?
募集要項等に明示している。個人的な興味・関心で受講している人もある。

7.研修の内容に関して
・「カリキュラムの標準」に示されている内容のうち、実施しているものは?
研修カリキュラムII「基礎コース」の「総論」は軽く扱っている。著作権やネチケットについては研修の中で必要に応じて取り上げている。「教育メディア特講」では、アプリケーションソフトを活用した講座を行っている。ネットワークの概念についてはインターネットに関する研修の中で扱っている場合もある。

・実施と実施しないものについての意見
「教育メディア各論」は、時間の関係でほとんど行っていない。「教育メディア特講」が中心であるが、OSに関するものや簡易言語による従来型のプログラミングは指導していない。また、オーサリングシステム等による教材作成も行っていない。データベースについても扱っていない。

・標準案にないものを加えている事例
インターネット、ネチケット、メディアサーバーを使っての映像を配信などを行っている。要望が多いのは、Webページの作成やプレゼンテーションに関する研修である。特色ある講座としては、ライブラリーで所蔵している古い映像をデジタル化する内容で、「映像ボランティア(指導者)養成講座」を実施している。

8.設備・機材の確保の状況および利用の形態に関して
*センター保有の機材について
・研修機材の確保の状況はどうか?
保有機材だけでほぼ間に合っている。

・研修機材確保のための方策はどうか?
情報機器は、5年リースで平成14年1月にペンティアムW1.5Ghz(640RAM)に更新したところである。技術の進歩が速いのですぐに古くなってしまうのが悩みである。

・研修機材の利用形態はどうか?
パソコン関係の研修では、学習を進める中でグループ編成を行うことがあるが、原則として1人1台のパソコンで研修することにしている。しかし、機材によっては受講者1人に1台の台数を揃えられないこともあり,やむなく数人で1台の機器を利用する場合もある。

9.研修担当者および講師の配置に関して
・主任担当者の配置はどのようにしているか?
基本的には、情報課の職員で指導している。平成13年度のIT講習会では、センターの施設ボランティアに講師をお願いした。IT講習会の予算に講師旅費等があったため招聘した経緯がある。

・講師の配置はどうしているか?
指導者研修の場合は20〜40人を講師1人、または補助を1人追加で実施している

10.受講者の内訳と定員確保の状況に関して
・定員、受講者数はどうなっているか?
定員(20〜40名)の関係で、定員を超える応募の場合は、抽選で定員内に収めている。

・研修の定員(募集)枠をどのような基準から決めているのか?
研修内容を十分習熟してもらえる範囲で募集している。
予算の関係や保有機材の台数なども関係している。

・定員確保の状況はどうか?
平成13年度は、ほぼ100%に近いといえる。しかし、社会教育主事は兼務が多いためか、参加者は少なく学校関係者が大半を占めている。

・受講者の内訳はどうか?
社会教育関係者が1割程度で、他は学校関係者となっている。

・受講者のグループ分けなどでの配置・工夫はどうか?
特になし(1人1台が原則)。

・遠距離からの受講者に対して、なんらかの準備があるか?
旅費の補助はない。

・受講者確保のために考えられる方策や、求められるカリキュラムの改善点は?
昨年までは、パソコン講座が中心であった。他のメディアについての研修も行うべきだとは考えているがニーズは少ない。

11.研修の進め方に関して
・講義と実習との関係について感じていることはあるか?
講義は少なめにし、実習・演習を中心に進めている。指導者講座には理論も必要であるが、時間が取れないのが現状である。

12.研修の評価に関して
・研修内容、講師についての評価はどうしているか?
研修終了後にアンケートを実施し、評価の参考にしている。

13.次年度以降の研修計画に関して
*一般的な意見
県としては、社会教育関係の指導者養成に重点を置きたいと考えているが、生涯学習施設として、一般県民向けのパソコン講座等の開設も必要となっており、指導者養成のみに力を入れることは難しい。

14.現在の「カリキュラムの標準」に関して
・現在のカリキュラムの有効性、有用性について
内容的に有効性を失っていると思う。また、予算措置の裏付けに欠けるのも難点である。どのくらいのサイクル(年数)で改訂(更新)するかも重要である。

・現在の「メニュー方式」「大項目方式」(地域の状況に応える方式)について
例示は参考としたいが、内容は日進月歩であるので何とも言い難い。

・メディア別研修(カリキュラムT)について
内容が市町村対象なので特にない。

・地域の各教育機関との連携の現状はどうか
パソコン指導者研修を県内4会場で実施しており、指導者を派遣している。また、この研修会の全体研修を県内4会場へネット配信もした。

15.新・「カリキュラムの標準」の策定に関して
現行では、視聴覚教育について何年かかけて技術・知識を習得するという考え方になっているように思うが、現在はそのようなゆとりはない。
いま必要な技術や知識を短時間で習得したいという希望が強いのではないか。

[大浦 哲雄]